6時間で6万円のセミナーに自主参加して、研修義務化にますます疑問

6時間で6万円のセミナーに自主参加して、研修義務化にますます疑問

 15日、東京の永田町で6時間6万円のセミナーに参加した。交通費を入れれば7万5000円だ。どんな内容のセミナーか、その内容は明かせないが、それだけ出費しても出席した甲斐があった。

 セミナー参加者は8名で、IT企業の経営者、中小企業診断士、美容院商材販売会社等なかなかおもしろいメンバーだった。そして、一人を除いて、全員が初顔合わせだった。
 その一人だが、「ひょっとしたら僕以外に司法書士が参加しているかもしれないな」なんて思っていたところ、会議室に入るやいなや、「あれー?、古橋さん」と声を掛けられた。関東地方のO司法書士だ。

「なになに、さっきビルの前でフラフラしてたおっさん、あれはOさんだったの?」

 正直、どんなメンバーが集まるのかドキドキしていたが、まさかOさんが出席しているとは意外だった。Oさんは、最近、facebookで、「もうしんどいから、若い人たちにまかせたい」なんてことを書いていた。とんでもない。今日のセミナーは、言ってみれば司法書士としては新規分野みなたいなものでチャレンジングなセミナーなのだ。Oさん、なかなか抜け目がない。

そのOさん。

「今日みたいなセミナーを研修単位に認めてくれればいいのにねえ」と。

 司法書士の世界では、年間12単位(12時間)の研修が義務づけられている。そのほとんどは、司法書士会などの司法書士団体が企画する、司法書士のための研修会だ。その大半は集合研修なので、僕などは新幹線に乗って静岡に行って研修を受けることが多い。しかし、中には、静岡県下の司法書士がわざわざ静岡に集まって、過去に行われた研修会のDVDを見るという、よく意味のわからないものもある。今の時代、そういうものであればオンデマンドで自由な時間に、興味があれば何回でも見ることができるようにすればいいのだ。
 なぜ、そんな形で研修会が行われるかと言えば、会員に12単位の研修を受けさせるために内容や形はともかく、研修会を開くことが目的となってしまっているからだ。
 そういうことにお金を使うのであれば、もっといろいろな分野の研修教材を用意して、オンデマンド、Eラーニングで会員が自主的に研修する環境を作ってくれた方がありがたい。僕はもっといろんなことを勉強したいのだ。

 だから、O司法書士の言葉に対する僕の回答はこうだ。

「研修単位なんでナンセンスですよ。たとえば、今日のセミナー、こういうものを、いつでも、何回でも見れるようにする、そういうことをどんどんやるべきですよ。とにかく研修会に来れば、寝てても単位をあげますなんてのは全く意味がないですよ」

 さてさて、今日のセミナー、おもしろかった。たぶん、年齢は僕が一番上だけど、すごく気持ちが若くなったね。

※写真はセミナーとは関係ありません。念のため。

投稿者プロフィール

古橋 清二
古橋 清二
昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A
浜松西部中、浜松西高、中央大学出身
昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる
平成2年 古橋清二司法書士事務所開設
平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立

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古橋 清二

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