担保取得

債権管理における担保の種類とポイント

◇抵当権
 抵当権とは、債権者(抵当権者)が、債務者又は物上保証人(例:債務者が会社の場合に会社代表者が個人所有の不動産を担保提供するような場合)が債務の担保として提供した不動産を、債務が弁済されない場合に、当該不動産について、他の債権者に優先して債権の弁済を受けることができる権利です。
 抵当権者が優先的に弁済を受ける方法としては、主に次の3つの方法があります。
①不動産の売却時に優先的な権利を主張して売買代金から弁済を受ける。
②不動産の競売手続により、その売却代金から優先的に弁済を受ける。
③不動産から生じる賃料がある場合には、その賃料から優先的に弁済を受ける。

ポイント
 抵当権は、登記の順番で優先的効力の順番が決まりますので、事前に不動産登記事項証明書を所得して不動産の権利関係とおおよその時価を調査しておく必要があります。

◇根抵当権
 根抵当権とは、一定の範囲に属する(増減変動する)不特定の債権(例:継続的な商品売買取引、請負工事取引等から生じる債権)を、一定の限度額(極度額といいます)の範囲で担保する抵当権の類型で、債務が弁済されない場合に、当該不動産について、他の債権者に優先して債権の弁済を受けることができる権利です。
 根抵当権者が優先的に弁済を受ける方法としては、抵当権と同様に主に次の3つの方法があります。
①不動産の売却時に優先的な権利を主張して売買代金から弁済を受ける。
②不動産の競売手続により、その売却代金から優先的に弁済を受ける。
③不動産から生じる賃料がある場合には、その賃料から優先的に弁済を受ける。

ポイント
 根抵当権は抵当権のひとつの類型であることから、抵当権と同様に、登記の順番で優先的効力の順番が決まります。したがって、事前に不動産登記事項証明書を所得して不動産の権利関係とおおよその時価を調査しておく必要があります。

◇譲渡担保
 譲渡担保とは、債務者が所有する不動産や動産、債権等を、債務者から債権者に対し譲渡し、債務が弁済されない場合には、債権者は、譲渡を受けた目的物から他の債権者に優先して弁済を受けることができる制度です。不動産、動産、債権等、様々な財産を目的物とすることができます。たとえば、工場内の在庫などのように、個数や内容が変動する集合物についても、その種類、所在場所等により目的物の範囲を特定して譲渡担保の目的物とすることができます。
 譲渡担保により優先的弁済を受ける方法としては、主に次の2つの方法があります。
①譲渡担保の目的物の所有権を債権者が完全に取得する。
②譲渡担保の目的物を売却してその代金から優先的に弁済を受ける。

ポイント
 不動産については不動産登記、動産・債権については動産・債権譲渡登記により、強力な担保となります。また、譲渡担保は、担保目的物を引き続き債務者に使用させるケースが多いため、外観上は、譲渡担保契約前と同様に、債務者は事業を継続することができます。

◇連帯保証
 連帯保証とは、保証人が債務者と連帯して債務を負担する保証をいいます。連帯保証の場合、債権者は、債務者、保証人のいずれに対しても請求をすることが可能です。まず債務者に請求して、債務者が支払いできない場合に保証人に請求するという順番を考える必要はありません。

ポイント
 保証契約は書面または電磁的記録によってしなければ効力を生じません。不特定の債権(例:継続的な商品売買取引、請負工事取引等から生じる債権)について保証契約を締結する場合には、根保証契約をすることもできます。