自己破産

手続の概要


 破産手続は、債務者が支払不能7債務超過に陥った場合に、債務者のすべての財産を債権者に対して公平に配当する制度です。債務者が申し立てる場合は自己破産と呼ばれ、また、個人である債務者の破産は個人破産、消費者破産などと呼ばれています。

 破産手続開始の決定を受けた者は、免責許可決定を受けることによって借金の支払義務から解放されます。したがって、個人破産は、最終的に免責許可決定を得ることを目的として利用されています。

 


破産は生活にほとんど影響しない


 破産することによって生活に様々な支障が生じることを心配される方がいらっしゃいます。しかし、現実には、日常生活に影響が出ることはほとんどありません。

 たとえば・・・・・

戸籍に記載されることはない
 破産をしても戸籍や住民票に記載されることはありません。また、以前は、本籍地の役所で保管している「破産者名簿」に記載がされていましたが、現在は、免責の許可がなされない場合のみ記載がなされています。なお、免責が許可されない場合はほとんどありません。

選挙権はなくならない
 破産によって選挙権はなくなることもありません。

消費者の場合郵便物が管理されることは少ない
 財産がほとんどない場合には、郵便物を管理されたりすることはなく、転居や旅行の時も許可をもらう必要もありません。これは、財産がほとんどない場合には破産管財人が選任されずに簡素な手続きで破産事件が進むためです。破産管財人が選任される場合には郵便物が破産管財人に届くことになりますが、破産管財人に申し出て、郵便物を引き渡してもらうことができます。

会社を退職する必要はない
 会社員や公務員などの場合、仕事をやめる必要はありません。なお、資格で仕事をしている場合には、他人の財産を預かるような仕事をしている場合には仕事が制限されることがあります。

家財道具を持って行かれることはない
 特別に高価なものでなければ、家具などを持って行かれることはありません。ただし、クレジット支払中の自動車などは返却しなければならない場合があります。

家族に影響はない
 ご家族には影響はありません。子供の学校、就職、結婚などにも影響はありません。

信用情報機関に登録される
 破産したことが信用情報機関に登録されます。したがって、7年間ぐらい、お金を借りたり、クレジットカードを作ったりすることができなくなります。もっとも、破産以外の債務整理をした場合や既に長期間(3か月以上)延滞している場合も同様に信用情報機関に登録されることになります。
 


法テラスを利用できます


 当事務所は法テラス(日本司法支援センター)の契約事務所です。法テラスでは、裁判手続費用をご用意できない方のために、費用の立替払いを行っています。法デラスを利用するためには収入要件など一定の要件を満たす必要がありますが、当事務所では、法テラスの利用要件を満たす場合には必ず法テラスの利用をお勧めしています。
 法テラスを利用して破産申立書類作成をする場合は、費用は約11万円、しかも分割払いにすることができます。また、生活保護受給者の場合は分割払いが免除されるため、実質的に無料で破産申立てをすることができます!
 法テラスの利用をご希望される方には、当事務所で法テラス申し込みの代行をしています。

法テラスの利用要件
法テラスを利用するには、資力基準を満たしていること、民事法律扶助の趣旨に適することが必要です。
資力基準に該当しているかどうかは、以下の収入要件資産要件を満たしているかどうかで判断します。

【収入要件とは】
申込者及び配偶者(以下、「申込者等」)の手取り月収額(賞与を含む)が下記の基準を満たしていることが要件となります。

1人家族 18万2,000円以下
2人家族 25万1,000円以下
3人家族 27万2,000円以下
4人家族 29万9,000円以下
以下、同居家族が1名増加する毎に基準額に30,000円を加算します。

また、家賃又は住宅ローンを負担している場合には、以下を金額を限度に加算することができます。

1人家族 4万1,000円以下
2人家族 5万3,000円以下
3人家族 6万6,000円以下
4人家族 7万1,000円以下

【資産要件とは】

申込者及び配偶者(以下、「申込者等」)の保有する現金及び預貯金が下記の基準を満たしていることが要件となります。

1人家族 180万円以下
2人家族 250万円以下
3人家族 270万円以下
4人以上 300万円以下
注:3ヶ月以内に医療費、教育費などの出費がある場合は相当額が控除されます。

 


司法書士は法テラスを紹介する義務があります


 司法書士の使命は、国民の権利の擁護と公正な社会の実現にあります。日本司法書士会連合会では、その使命を果たすための基本姿勢を司法書士倫理として制定しています。そして、司法書士倫理には、次のような規定があります。

(法律扶助制度等の教示)
第66条 司法書士は、事案に応じ、法律扶助及び訴訟救助制度を教示する等、依頼者の裁判を受ける権利が実現されるように努めなければならない。

したがって、司法書士は、法テラスの収入要件を満たす場合には、法テラスの法律扶助制度を教示する義務があります。