こんな方は遺言書を作る必要があります

こんな方は遺言書を作る必要があります

子供のいらっしゃらない夫婦の方

 子供がいらっしゃらない夫婦の方は、ご自分が亡くなった時のことを想像したことがありますか? あなたが、あなたの配偶者より先に亡くなった場合、あなたの配偶者は相続人になります。しかし、あなたのご両親や、ご両親が既に他界している場合にはあなたの兄弟も相続人になります。

 このような場合、あなたの配偶者は、あなたのご兄弟などと相続の話し合いをしなければならないということになります。

 話し合いが問題なくできればいいのですが、そうならない場合も多いようです。 あなたとしては、配偶者に全て遺してあげたいのではないですか?

 配偶者を思いやる心があるのであれば、遺言書を作ってあげるべきです。

 逆に、あなたの配偶者が先に亡くなった場合のことを考えてみましょう。配偶者の財産をどのように相続するのかは、配偶者のご両親やご兄弟など、あなた以外の相続人と話し合いをしなければなりません。配偶者が遺言書を作成してくれれば、そのような話し合いをする必要もないわけです。 なお、ご兄弟には遺留分がありません。したがって、配偶者に全てを相続させる遺言を作成したとしても兄弟が遺留分を請求することはできません。

 

独身で子供がなく、両親や兄弟もいらっしゃらない方

 独身で子供がなく、両親や兄弟もいらっしゃらない方、つまり、相続人がいらっしゃらない方について、遺言がない場合には、利害関係人や検察官の申し立てによって家庭裁判所が相続財産管理人を選任しなければなりません。

 相続財産管理人は財産状況の報告などの相続財産管理をし、債権者や受遺者に対する請求催告、不明の相続人の探索を行います。
 相続人捜索の公告の後6か月を経過しても相続人が現れない場合は相続人不在が確定します。

 相続人不在が確定すると、相続人、管理人に知られなかった債権者・受遺者はともにその権利を失います。相続人がいないと確定した場合、被相続人の特別縁故者は家庭裁判所に申し立てをし、財産の全部または一部の分与を受けることができます。

 特別縁故者にも分与されなかった財産は、最終的には国庫に帰属することになります。

 このように、非常に複雑な手続きを経て、最終的には財産が国のものとなってしまいます。

 しかし、遺言があれば、あなたの意思にしたがって、遺言どおりに財産が遺贈されれます。お世話になった方々へのお礼や、諸団体に寄付を希望される場合には、遺言を作成することが必要です。

 

事業を後継者に引き継ぎたい方

 事業を営んでいたり、農業を行っているような場合には、事業を引き継いでくれる子供に対して、事業に必要な財産や会社の株式を引き継がせることが必要です。
子供達が法定相続分を主張した結果、事業用財産や会社の株式をバラバラに相続したのでは、事業の継続が不可能となってしまいます。
 したがって、このような場合は、遺言を作成して、事業を引き継いでくれる子供に対して、必要な財産や株式を引き継がせなければなりません。もちろん、他の相続人の遺留分にも配慮したうえで遺言を作成する必要があります。

 

内縁の妻や夫がいらっしゃる方

 実質的に夫婦関係にある場合でも、婚姻届を提出していない関係を「内縁関係」といいます。
内縁関係の場合、法律上の夫婦と違い、お互いが相続人となりません。つまりお互いの財産について一切の相続権が発生しないことになります。
 しかしながら、社会的には夫婦としての実態を備え、夫婦共同生活を送っているにも関わらず、何らの保護も与えないのは妥当でないという考えから、内縁関係を法律上の夫婦に準ずる関係として、内縁の配偶者に対して法律上の保護がなされる場合がありますが、不完全です。

 そこで、内縁関係にある者が自分の死後にパートナーに財産を残したい場合には、遺言書を作成しておく必要があります。

 

主な財産が持ち家の方

 主な財産が持ち家の方の場合、相続の際に相続人に遺産を平等に分配することは不可能です。

 親として、家を守る者が家を相続して欲しいと考えていても、他の相続人はどのように考えているのかはわかりません。

 このような場合、遺言書を作成して、親の思いを子供達に伝え、紛争を未然に防止するように配慮してあげることが必要です。

嫁への感謝の気持ちを表したい方

 お嫁さんが、家事や介護に尽くしてくれていても、養子縁組をしていなければ相続人にはならないため、相続については何の権利もありません。
 特に、息子さんに先立たれしまったような場合には、尽くしてくれたお嫁さんに何らかの方法で感謝の気持ちを伝えたいと考える方も多いでしょう。
 このような場合、遺言書を作成して、お嫁さんには、「遺贈」というかたちで一部の財産分けをして、残りを相続人で分けるように考えてみてはいかがでしょうか。

 

相続人に行方不明の方がいらっしゃる方

 

 遺産分割協議で定める分割の内容は、話し合いで全員が納得すればどのように定めても結構です。もちろん、法定相続分と異なる分割をしても結構です。
 話し合いは相続人全員が一同に会して行うのが通常ですが、書面や持ち回りでもすることができます。協議は相続人全員の合意により成立します。
したがって、相続人のうち一部の者が行方不明の場合には、いつまでたっても遺産分割協議は成立しません。

 このような場合、行方不明者について不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に求めることもできますが、遺言を作成しておけば、このような煩雑な手続きをすることなく、相続手続きを完了させることができます。