有機肥料と本人訴訟支援

有機肥料と本人訴訟

 我が家では、基本的に、ごみの日に生ごみを出すことはない。それは、生ごみはコンポストで有機肥料にするからだ。ただ、生ごみをそのままコンポストに入れるだけでは腐ってウジが湧いてしまう。そうではなくて、生ごみを土に混ぜ、それをコンポストに入れるのだ。そうすることにより、土の中の微生物が生ごみを食べ、1月ほどで土にしてくれるのだ。

 もともと、その生ごみの多くは畑でできた野菜くずだから、野菜が生ごみになり、生ごみが土地になり、そして、土が野菜を作るという循環になっているのだ。昔は生ごみだけではなく人間の糞尿も畑に撒いていたのだから、完全な循環になっていたわけだ。今ではさすがに人糞は使えないので、有機栽培では牛糞や鶏糞を肥料に使っている。

 ところが、戦後、化学製品である化学肥料を使うことにより農業は変わった。必要なところに必要な分だけ化学的に作られた肥料を投入し、効率的に作物を作るようになった。しかも、農薬を使って生物を殺しながら作物だけを育てるようになった。もちろん、微生物や土中の虫はどんどん死んでいき、循環が止まった畑で作物を作るためにさらに化学肥料を投入するという悪循環となった。

 このように、いにしえの時代から続いていた循環が、戦後、化学肥料や農薬が大量に入ってきたことにより止まり、後戻りできないような状況に陥っている。

 司法書士の業界も似たようなところがないだろうか。司法書士は、長い間、裁判書類作成を通じて本人訴訟を支援してきた。そうした司法書士の活動が、弁護士が行う代理型訴訟の対局として存在が認められていた。

 ところが、平成14年司法書士法改正により司法書士に訴訟代理権が与えられた。農業で言えば、化学肥料だ。これは便利だ、使い勝手がいいと飛びついた。ところが、使い方が悪かった。化学肥料の使い方をよく知らずに特定のところにどんどん投入した。使うにしても、窒素、リン、カリウムのバランスや、どんな野菜にはどんな肥料を使うということを知った上で使うべきだった。従来から行っていたような本人と二人三脚で行う本人訴訟支援は影を潜め、そのやり方すら知らない認定司法書士ばかりとなってしまったのではないか。

 果たして、後戻りできるのだろうか。

 

投稿者プロフィール

古橋 清二
古橋 清二
昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A
浜松西部中、浜松西高、中央大学出身
昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる
平成2年 古橋清二司法書士事務所開設
平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます

  • 2021民法・不動産登記法改正を研究する 第15回 改正民法 共有制度の見直し ~共有物の管理者制度の創設~2021民法・不動産登記法改正を研究する 第15回 改正民法 共有制度の見直し ~共有物の管理者制度の創設~ https://youtu.be/v96Ke0Gw2oo
  • 2021民法・不動産登記法改正を研究する 第14回 改正民法 共有制度の見直し ~共有物の変更・管理の内容に関する新しい非訟手続し~2021民法・不動産登記法改正を研究する 第14回 改正民法 共有制度の見直し ~共有物の変更・管理の内容に関する新しい非訟手続し~ https://youtu.be/yBZtT-0ID9g
  • 「心配無用! 人生は依頼者が決めてくれる」 全国青年司法書士協議会 第48回全青司いばらき全国大会によせて 「心配無用! 人生は依頼者が決めてくれる」 全国青年司法書士協議会 第48回全青司いばらき全国大会によせて  心配無用! 人生は依頼者が決めてくれる  明日、全国青年司法書士協議会 第48回全青司いばらき全国大会が開催されます。寄稿文を依頼されていましたのでここで紹介します。なお、参加される方には配付されると思われます。  全国の青年司法書士のみなさん、こんにちは。『志動』をテーマとする全青司いばらき全国大会の開催にあたり、私の経験や考え方が少しでも参考になれ […]
  • 【動画】破産手続の諸問題 申立前に、信販会社から軽自動車の引き揚げを要求された場合【動画】破産手続の諸問題 申立前に、信販会社から軽自動車の引き揚げを要求された場合 【動画】破産手続の諸問題 申立前に、信販会社から軽自動車の引き揚げを要求された場合  別除権は、破産手続によらないでこれを行使することができるが(法65条)、行使の方法は通常の実行方法による。  ところが、破産手続開始後は、別除権の目的物が破産財団に属してしまうため、破産管財人を相手方として別除権を主張するためには別除権について対抗要件を具備している必要があると考えら […]
  • 平成30年度考査の結果発表平成30年度考査の結果発表  昨日、平成30年度簡裁訴訟代理等能力認定考査の認定者の発表があった。この考査で認定された司法書士は、簡裁訴訟代理等関係業務を行うことができる。当事務所でも神谷司法書士が受験し、問題なく認定された。  認定の合格率は43.1パーセントということであるが、私が受験した平成15年(第1回考査)は、確か70パーセント前後であったことを考えると、随分合格率が低下したものだ。最近では […]
  • 日掛け保証料事件勝訴的和解(2006年6月1日のブログより)日掛け保証料事件勝訴的和解(2006年6月1日のブログより) 日掛け保証料に関して数件訴訟を提起しているが、本日、その1件について和解した。その事件はまだ第1回口頭弁論期日も開かれていないが、被告に訴状が到達した途端、こちらの請求金額を全面的に支払う旨、保証会社の社長自ら電話してきた。 拍子抜けだ。被告としては、ただ単に訴訟手続きが面倒だったのかもしれない。ちなみに、訴状の内容は概ね次のとおりである。 損害賠償請求事件 第 […]
  • 債務者に対する通知と差押えの対抗問題債務者に対する通知と差押えの対抗問題 【債務者に対する通知と差押えの対抗問題】  父Aが死亡し、相続人は子供の私Xと弟Yの2名です。遺産分割協議の結果、Aの遺産のうち、AのGに対する1000万円の貸金債権は私が相続することになりました。そのことについて、Gに対し遺産分割協議書を示して通知をしました。  ところで、Yには借金があり、債権者であるKが、AのGに対する貸金債権のうち、Yの法定相続分である500万円の […]
  • 取締役会の決議の省略の制度取締役会の決議の省略の制度 取締役会設置会社は,取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において,当該提案につき取締役の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては,監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は,当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができるとされた(会社法第370条)。取締役会の決議が […]
  • 仮換地の従前地に登記する賃借権登記の借賃の記載方法仮換地の従前地に登記する賃借権登記の借賃の記載方法 仮換地の従前地に登記する賃借権登記の借賃の記載方法  賃借権登記の登記事項である借賃は、土地毎に登記するものとされている。例えば、A、B、Cという3筆の土地を月額10万円の借賃で借りるとしても、登記は、A、B、Cそれぞれの土地毎に賃料を登記しなければならない。もちろん、A、B、Cはそれぞれ面積が異なるし、方角や道路との位置関係も全く異なる。賃貸借契約の当事者は、あくまでも全 […]
  • 相続分の指定と所有権の対抗問題相続分の指定と所有権の対抗問題 【相続分の指定と所有権の対抗問題】  父Aが死亡し、相続人は子供の私Xと弟Yの2名です。Aは、「Xの相続分を3分の2、Yの相続分を3分の1とする」との遺言を残していました。この遺言をもとにXは甲土地全てを含む遺産の3分の2を、Yが預貯金から残りの3分の1を相続することになりました。甲土地について、まだAからXへの所有権移転登記はしていませんでした。  ところが、Yには借金 […]
  • 有限会社から株式会社への移行の登記申請書に添付する株主リストの作成者有限会社から株式会社への移行の登記申請書に添付する株主リストの作成者 有限会社から株式会社への移行の登記申請書に添付する株主リストの作成者  有限会社から株式会社へ移行するためには、有限会社の株主総会において商号変更にかかる定款変更の決議を行い、これにもとづいて株式会社の設立登記の申請と有限会社の解散登記の申請を同時に行う必要がある。移行前の有限会社と移行後の株式会社は同一人格ではあるが、単に商号変更の登記申請をすればよいのではなく、株式会社 […]
  • どうやればいいの? 相手方76人の抵当権抹消どうやればいいの? 相手方76人の抵当権抹消 どうやればいいの? 相手方76人の抵当権抹消 https://youtu.be/ssZoXisoCss
  • 2021民法・不動産登記法改正を研究する 第24回 ~事例問題 唯一の役員、唯一の株主である父が死亡!相続人4人の意見がまとまらず、会社の意思決定ができない!2021民法・不動産登記法改正を研究する 第24回 ~事例問題 唯一の役員、唯一の株主である父が死亡!相続人4人の意見がまとまらず、会社の意思決定ができない! https://youtu.be/dzkNFK3ILGM
  • 設立時代表取締役の選定方法設立時代表取締役の選定方法 発起設立により取締役会設置会社でない株式会社を設立する場合の設立時代表取締役の選定方法は次のいずれでも差し支えないでしょうか。 ① 定款で定める ② 定款の定めにより設立時取締役の互選で選任する ③ 発起人が定める いずれでも差し支えない。 […]
  • 特別寄与料請求の方法特別寄与料請求の方法 【特別寄与料請求の方法】  特別寄与料はどのように請求すればいいのですか。 回答  特別寄与料の請求は、各相続人に対して個別に行う必要があると考えられます。これは、特別寄与料は、各相続人がその相続分に応じて責任を負担するものであるためです。  また、各相続人との間で協議が整わないときや、協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対し、協議に変わる処分を […]
  • 人生の転機人生の転機 人生の転機 「先生、以前お世話になったウチの従業員のことなんですが、今日、本人から退職願が出てきました。これは、彼女の破産のことと関係があるのですか?」  夏も終わりに差し掛かった頃、ある会社の総務部長から彼女の進退について問い合わせを受けたものの、私には彼女の退職については何の心当たりも浮かばなかった。  そういえば、あらから5年が経とうとしている。彼女の自己破産の申 […]
  • 電子社会への課題と期待電子社会への課題と期待  当事務所の内納隆治司法書士が所属する電子署名研究会報告会における内納隆治の報告です。報告会では時間の関係から20分という時間に納めましたが、この動画はフルバージョンの37分となっています。 https://youtu.be/iu58c1Rymso […]
  • 事務所を移転しました事務所を移転しました  司法書士法人中央合同事務所は、令和7年1月29日、主たる事務所を 静岡県浜松市中央区曳馬五丁目11番5号 に移転しました。                                                                                           〇遠州鉄道曳馬駅 徒歩6分                 […]
  • 【動画】民事執行法改正 養育費等の回収が困難な場合に朗報! 第三者からの情報取得手続の解説【動画】民事執行法改正 養育費等の回収が困難な場合に朗報! 第三者からの情報取得手続の解説 【動画】民事執行法改正 養育費等の回収が困難な場合に朗報! 第三者からの情報取得手続の解説
  • 会社登記・会社法律相談の費用体系を5月1日から改訂させていただきます 会社関係の登記・ご相談・契約書の検討及び作成をご依頼いただく際は、下記のご案内を必ずご確認ください 1.ご依頼の流れについて  ① ご依頼をご検討いただく場合は、まず、どのような登記やご相談等をご依頼されるのか、その概要を電話、メール等でお伝えください。   もっとも、この段階では、具体的な書類の作成方法やその内容等のご相談には応じかねます。  ② […]

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)