故人の預貯金を払い戻すために家庭裁判所に対し仮分割の仮処分を申し立てる方法があると聞きましたが、どのような制度ですか。

 家事事件手続法200条2項に定められている仮分割の仮処分制度です。家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、審判又は調停の申立てをした者又は相手方の申立てにより、遺産の分割の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができます。

 これにより共同相続人間の実質的な公平を確保しつつ、個別的な権利行使の必要性に対応できると思われます。

 しかし、遺産の分割の審判又は調停の申立てがなされていること、「強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要がある」ことが必要です。

 したがって、葬儀費用の支払いや一時的な生活費の補填という程度の理由では、仮分割の仮処分が発令される可能性は低いと思われます。

投稿者プロフィール

古橋 清二
古橋 清二
昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A
浜松西部中、浜松西高、中央大学出身
昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる
平成2年 古橋清二司法書士事務所開設
平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます

  • 考えてみれば、被告が50人もいたら訴状の送達に問題が生じるのは必然だった考えてみれば、被告が50人もいたら訴状の送達に問題が生じるのは必然だった  このところ、毎年のように、原告の代理人になり、10人から50人ぐらいの相手方を被告として訴訟を提起することがある。内容は、時効取得による所有権移転登記手続を求めたり、妨害排除請求としての抵当権抹消登記手続を求めるなどの登記手続を求める訴訟である。  例えば、時効取得による所有権移転登記手続を求める場合、相手方は占有開始時の所有者であるが、その方に相続が発生しており、また、 […]
  • パートさん募集中! いっしょに働きませんか?パートさん募集中! いっしょに働きませんか? パートさん募集中! いっしょに働きませんか? ◆仕事内容は、登記関係書類の作成・整理、財産管理している個人のお客さんの経理処理(と言っても、通帳を見て簡単な会計ソフト使ってパソコンに転記するイメージ)、市役所等での住民票等の取寄せ(社用車使用)などです。 ◆パートさんを含め、7名のアットホームな事務所です。 ◆明るい方。未経験者も積極的に応募してください。子育て中の方も […]
  • 再会再会 再会  ある上場企業の会議室。本社を移転するための不動産の決済である。地権者である売主が多数集まり、会社側の関係者が部屋に来るのをいまかいまかと待ち受けている。それはそうだろう。今日は大きなお金が動く。土地の売買代金の最終金が地権者へ振り込まれるのだ。  程なくしておそろいの制服を着た会社の担当者が時間どおりに入ってきた。私は、一人一人と名刺を交わし、あいさつをする。もち […]
  • 監査役1名の会社の補欠監査役の任期監査役1名の会社の補欠監査役の任期 監査役を1名しか置かない株式会社も、その定款に「任期の満了前に退任した監査役の補欠として選任された監査役の任期は、退任した監査役の任期の満了する時までとする」という会社法336条3項の規定の内容の定めを設けることができ、その監査役が任期満了前に辞任したときは、当該辞任した監査役の補欠として選任された監査役の任期は、当該辞任した監査役の任期の満了する時までである(登記研究700 […]
  • 【動画】滞納したマンション管理費の回収を依頼されました。もっと早い段階で依頼していただければ裁判外で交渉してもよかったかもしれませんね。【動画】滞納したマンション管理費の回収を依頼されました。もっと早い段階で依頼していただければ裁判外で交渉してもよかったかもしれませんね。 【動画】滞納したマンション管理費の回収を依頼されました。もっと早い段階で依頼していただければ裁判外で交渉してもよかったかもしれませんね。ともあれ、和解で解決できてよかったです。 https://youtu.be/sA8wuGg9QXM […]
  • 登記簿に新築年月日の記載のない場合の住宅家屋証明登記簿に新築年月日の記載のない場合の住宅家屋証明 登記簿に新築年月日の記載のない場合の住宅家屋証明 備忘のためのメモです。 登記簿に新築年月日の記載のない建物がありますが、浜松市の場合、評価証明書で建築年次が確認できれば建築後の年数が確認できるので、中古住宅売買用の住宅用家屋証明書の発行が可能でした。 […]
  • 【動画】改正相続法を具体的事例で検討してみよう【動画】改正相続法を具体的事例で検討してみよう 【動画】静岡県司法書士会研修会 「改正相続法を具体的事例で検討してみよう」  7月27日、台風で開催が危ぶまれましたが、予定どおり、静岡県司法書士会第1回会員研修会「さらにパワーアップ 相続実務必携 「相続登記の専門家」から「相続の専門家」になる」が開催されました。  参加申込みは、なんと252名! 昨年開催された研修会の最高が約140名とのこと。とんでもない記録的な参加 […]
  • 【動画】危急時遺言のポイント【動画】危急時遺言のポイント 【動画】危急時遺言のポイント https://youtu.be/NLybwQZnkRk
  • 債務者に対する通知と差押えの対抗問題債務者に対する通知と差押えの対抗問題 【債務者に対する通知と差押えの対抗問題】  父Aが死亡し、相続人は子供の私Xと弟Yの2名です。遺産分割協議の結果、Aの遺産のうち、AのGに対する1000万円の貸金債権は私が相続することになりました。そのことについて、Gに対し遺産分割協議書を示して通知をしました。  ところで、Yには借金があり、債権者であるKが、AのGに対する貸金債権のうち、Yの法定相続分である500万円の […]
  • 【動画】破産手続の諸問題 受任通知が到達した後にその銀行に給料が振り込まれた場合の対応は?【動画】破産手続の諸問題 受任通知が到達した後にその銀行に給料が振り込まれた場合の対応は? 【動画】破産手続の諸問題 受任通知が到達した後にその銀行に給料が振り込まれた場合の対応は? https://youtu.be/qD3gT1liWHI
  • 2021民法・不動産登記法改正を研究する 第12回 改正民法 ~相続財産清算人の業務スケジュール~2021民法・不動産登記法改正を研究する 第12回 改正民法 ~相続財産清算人の業務スケジュール~ https://youtu.be/tMiKU9qNHWg
  • 相続放棄と固有の財産の関係相続放棄と固有の財産の関係 相続放棄についての少し真面目な話(1)制度の趣旨 相続人は、相続開始の時から被相続人に属した財産上の一切の権利義務を当然に承継する(民896)。しかし、その一方で、相続人につき、単純承認、限定承認、放棄のいずれをも自由に選択することを認めている。これは、債務を強制的に相続人に承継されることは個人主義的財産観念に反するからであると言われている。 (2)相続財産と相続人固有の […]
  • 【動画】遺留分制度が変わりました! 遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求へ、そして、相続人への贈与は10年前までに限定されました!【動画】遺留分制度が変わりました! 遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求へ、そして、相続人への贈与は10年前までに限定されました! 遺留分制度が変わりました! […]
  • 受遺者の特別寄与料請求の可否受遺者の特別寄与料請求の可否 【受遺者の特別寄与料請求の可否】  私はAの相続人ではありませんが親族であり、Aの生前にAの療養看護に尽くし、Aの財産維持に特別の寄与をしたと思っています。Aは、私に対し100万円を遺贈するという遺言を残してくれましたが、とてもそれでは足らないと思っています。私は、相続人に対し、特別寄与料の請求をすることができるでしょうか。 回答  特別寄与者が、その寄与について被相続 […]
  • 自筆証書遺言にパソコンで作成した目録を添付したいのですが、遺言書本文と目録には契印をする必要がありますか自筆証書遺言にパソコンで作成した目録を添付したいのですが、遺言書本文と目録には契印をする必要がありますか 自筆証書遺言にパソコンで作成した目録を添付したいのですが、遺言書本文と目録には契印をする必要がありますか  自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、印を押さなければなりません。また、自筆証書遺言と 一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録は自書でなくてもかまいませんが、自書でない場合、遺言 […]
  • 遺産分割協議がまとまる前に払戻しが認められるのは預貯金の一部と聞きましたが、同一の金融機関に複数の預金がある場合はどのような金額が払戻可能ですか。遺産分割協議がまとまる前に払戻しが認められるのは預貯金の一部と聞きましたが、同一の金融機関に複数の預金がある場合はどのような金額が払戻可能ですか。  遺産分割協議がまとまる前に払戻しが認められる預貯金の額は、相続が発生した時点における残高の3分の1に、払戻しを求める相続人の法定相続分を乗じた額です。ただし、金融機関ごとに150万円が限度とされています。  そして、ここでいう「預貯金の額」は、預金毎に考えられることになります。たとえば、ある金融機関に故人の普通預金300万円と定期預金1200万円がある場合で、払戻しを求め […]
  • 不動産登記規則92条の解釈不動産登記規則92条の解釈 不動産登記規則92条の解釈 不動産登記規則92条とは、次の条文である。 (行政区画の変更等) 第92条  行政区画又はその名称の変更があった場合には、登記記録に記録した行政区画又はその名称について変更の登記があったものとみなす。字又はその名称に変更があったときも、同様とする。 2 […]
  • 【動画】経営革新等支援機関として何をする? 事業承継への司法書士の挑戦!【動画】経営革新等支援機関として何をする? 事業承継への司法書士の挑戦! 大きな社会問題になりつつある事業承継。会社法の専門家として司法書士がどのように関わっていくか。司法書士の役割について、経営革新等支援機関に認定された司法書士法人中央合同事務所。代表の古橋清二がおおいに語ります。 https://youtu.be/YfAI96Int2Q […]
  • 時代に翻弄される人たち時代に翻弄される人たち 時代に翻弄される人たち (これは、平成27年6月29日に開催された静岡県司法書士会は浜松支部の人権委員会で当事務所代表の古橋清二が発表したものを文字おこししたものです)   Ⅰ はじめに 今日は、発表の機会をいただき、ありがとうございます。  判例解説ということですので、平成26年7月18日、最高裁で永住外国人の生活保護受給権に関する判決が […]
  • 【動画】簡裁訴訟代理等関係業務って、具体的にどういう業務? 司法書士に何を頼めるの?【動画】簡裁訴訟代理等関係業務って、具体的にどういう業務? 司法書士に何を頼めるの? 【動画】簡裁訴訟代理等関係業務って、具体的にどういう業務? 司法書士に何を頼めるの?  内納司法書士が簡裁訴訟代理等関係業務の認定考査に合格しました!  […]

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)