日掛け保証料事件勝訴的和解(2006年6月1日のブログより)

日掛け保証料に関して数件訴訟を提起しているが、本日、その1件について和解した。その事件はまだ第1回口頭弁論期日も開かれていないが、被告に訴状が到達した途端、こちらの請求金額を全面的に支払う旨、保証会社の社長自ら電話してきた。
拍子抜けだ。被告としては、ただ単に訴訟手続きが面倒だったのかもしれない。ちなみに、訴状の内容は概ね次のとおりである。

損害賠償請求事件

第1 請求の趣旨
1 被告らは、原告に対し、各自連帯して、金8万5950円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みに至るまで年5パーセントの割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決及び1項につき仮執行の宣言を求める。
第2 請求の原因
1 金銭消費貸借取引
(1)原告は、人材派遣を主な業務とする有限会社○○の代表権のない取締役である(甲第1号証)。
(2)被告株式会社A(以下、「A」という)は、九州財務局長(N3)第○○○○○号登録の日賦貸金業者である(甲第2号証)。
(3)原告は、平成16年11月15日、被告Aとの間で下記のとおり基本契約証書を締結し、同日、基本契約書にもとづき金50万円を借り入れた(甲第3号証)。
ア 契約限度額 不明
イ 利息    年54.75パーセント(年365日の日割計算)
ウ 損害金   年54.75パーセント(年365日の日割計算)
エ 返済方法 毎日(土、日、祝日並びに被告Aの指定休日を除く)、貸付の都度被告Aが交付する貸付明細書に記載された金額に同日までの利息を付して支払う。
(4)その後、原告は、下記の日に、被告Aとの間で、基本契約証書を締結する方法で借り換えを行い、その都度、新しい限度額と同日における借入残高との差額である次の金額を借り入れ、被告Aとの金銭消費貸借取引を続けた(甲第4号証)。
ア 平成16年12月25日  金8万3564円
イ 平成17年2月18日   金9万1633円
ウ 平成17年4月1日    金9万1048円
エ 平成17年5月17日   金7万3186円
オ 平成17年6月13日   金5万7998円
カ 平成17年7月4日   金14万8080円
キ 平成17年8月8日    金9万4116円
ク 平成17年9月7日    金7万0461円
ケ 平成17年10月11日  金6万0964円
2 保証料の支払い
(1)被告Aの担当者は、原告に対し、前項の貸付の際、融資をするためには極度額に対して5パーセントの割合の金員を保証料として被告株式会社B(前商号有限会社B(甲第5号証)。以下、「B」という)に支払うのが条件である旨を述べたので、原告は、被告Bに対し、次のとおり合計27万円の保証料を支払った(なお、実際に支払った保証料は限度額に対する5パーセントの割合によるものであるが、各限度額が不明であるので、下記金額は貸付額に対する5パーセントの割合により計算した)。
ア 平成16年11月15日  金2万5000円
イ 平成16年12月25日  金2万5000円
ウ 平成17年2月18日   金2万5000円
エ 平成17年4月1日    金2万5000円
オ 平成17年5月17日   金2万5000円
カ 平成17年6月13日   金2万5000円
キ 平成17年7月4日    金3万0000円
ク 平成17年8月8日    金3万0000円
ケ 平成17年9月7日    金3万0000円
コ 平成17年10月11日  金3万0000円
3 金銭消費貸借契約の無効
(1)日賦貸金業者の法律上の定義
ところで、日賦貸金業者とは、貸金業の規制等に関する法律2条2項に規定する貸金業者であつて、次の各号に該当する業務の方法による貸金業のみを行うものをいい(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下、「出資法」という)附則9)、日賦貸金業者は、これらに規定する業務の方法以外の方法により貸金業を営んではならない(出資法附則10)。
一 主として物品販売業、物品製造業、サービス業を営む者で内閣府令で定める小規模のものを貸付けの相手方とすること。
二  返済期間が百日以上であること。
三  返済金を返済期間の百分の五十以上の日数にわたり、かつ、貸付けの相手方の営業所又は住所において貸金業者が自ら集金する方法により取り立てること。
(2)貸付対象者違反
しかるに、本件金銭消費貸借取引の借主である原告は、有限会社の代表権のない取締役個人であり、「物品販売業、物品製造業、サービス業を営む者」にはあたらない。
(3)返済期間違反
また、本件金銭消費貸借取引の過程を見ると、基本契約証書を締結し直す方法で1~2か月毎に借り換えが行われ、契約当初から、こうした短期間で借換えすることを想定した取引であり(このことにより、後に述べる保証料を多額に払わせることにつながる)、「返済期間が百日以上であること」(出資法附則9二)を潜脱するものである。
(4)したがって、被告Aを貸主とする本件金銭消費貸借取引は、出資法附則が定める日賦貸金業者の特例を逸脱するものである。そうすると、本件金銭消費貸借取引には出資法附則8に定める出資法5条2項の読み替えが適用されない結果、出資法5条2項が定める要件(金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年29.2パーセント(2月29日を含む1年については年29.28パーセントとし、1日当たりについては0.08パーセントとする。)を超える割合による利息の契約をしたとき)に該当する。
(5)さらに、被告Aの貸付は被告Bに保証料を支払うことを条件として行われているが、およそ保証会社であれば保証リスクを回避するために必ず行われる筈の保証委託者の審査は行われず、また、被告Aとの金銭消費貸借取引の借換え時には、原告が従前に支払った保証料は何ら精算されることなく、借換え時に形式的に締結される基本契約書の限度額に対して一律5パーセントの保証料を支払わされている。こうした実態は、被告Aの貸付が被告Bに保証料を支払うことを「条件」としたというよりも、被告Aが原告に対し、被告Bに保証料を支払うよう「要求」したことと同視される。
出資法5条3項は、出資法5条2項に規定する割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者を、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し又はこれを併科する旨規定しているが、この場合、金銭の貸付けを行う者がその貸付けに関し受ける金銭は、礼金、割引料、手数料、調査料その他何らの名義をもってするを問わず、利息とみなして出資法2項の規定を適用するものとされており(この点において利息制限法におけるみなし利息の規定と異なる)、さらに、何らの名義をもってするを問わず、また、いかなる方法をもってするを問わず、出資法5条2項の規定に係る禁止を免れる行為をした者は5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し又はこれを併科することとされている(出資法8条)。
(6)加えて言えば、貸付限度額の5パーセントの保証料が実質利息であるならば、被告Aが年利54.75パーセントで金銭を貸し付けた場合には、次の基本契約書書き換えまでの期間が33日以下である場合には、実質年利109.5パーセントを超過することになる(この日数をXとすると、X<0.05/0.5475×365の計算式で求めることができる)。
本件金銭消費貸借取引で言えば、平成17年6月13日から平成17年9月7日までの期間において、実質年利109.5パーセントを超過していたことになる。
(7)金銭消費貸借契約の無効(貸金業規制法42条の2)
以上見たように、本件金銭消費貸借取引の違法性は顕著であり、効力規定たる出資法に違反またはこれを潜脱するものであり、強行法規違反として無効である。
また、貸金業を営む者が業として行う金銭を目的とする消費貸借の契約において、年109.5パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは当該消費貸借の契約を無効とする貸金業の規制等に関する法律42条の2にも該当することになる。
(8)金銭消費貸借契約の無効(公序良俗違反)
仮に、前記(7)記載の貸金業規制法42条の2の適用が認められないとしても、本件金銭消費貸借取引は公序良俗に反し無効である。
すなわち、次のとおりである。
高金利の利息や遅延損害金の契約・徴収は、歴史的にも古くから、しばしば借主を経済的破綻状態に追い込み、借主の自殺や一家離散、元利金等の返済資金欲しさからの犯罪の誘発等種々様々な弊害を生じてきたのは顕著な事実である。
法は、かかる高金利契約の弊害を防止するため、利息制限法によって民事上有効な利息・遅延損害金の利率の上限を定め、同法所定の制限利率超過部分の利息・遅延損害金の契約を無効とし、さらにそれだけに止まらず、出資法によって、同法に違反する高金利の利息契約等をする行為に対しては、およそ社会的妥当性を欠くそのような高金利の契約等を許さず、相当重い刑事罰を科すことにより、このような高金利の利息契約等を禁圧しようとしているのであって、かかる出資法の制限規定は、単なる取締規定ではなく、社会における公の秩序を規定し、これに違反する私法上の契約の効力を無効にする効力規定であると解する。
よって、出資法の制限を超過する利息・遅延損害金の契約は、利息制限法の場合とは異なり、利息制限法の制限利率範囲内の部分も含め、その契約全体が効力規定としての出資法違反かつ公序良俗違反として無効と解すべきである。けだし、このように解釈しなければ、出資法に違反する高利契約による弊害を根絶させることは事実上不可能となり、出資法の趣旨を没却することになるからである。
4 不法行為による損害賠償請求
(1)日賦貸金業者である被告Aが、日賦貸金業者の借主の要件を満たさない原告に対し、出資法に保証料についての上限規制の明文がないことを奇貨として被告Bと結託して出資法の制限金利を超過する利息及び保証料名目の上乗せ利息を取り、実質的に出資法の制限金利を大幅に上回る暴利を貪る脱法的手口を考案して原告を相手に行った行為は不法行為に該当する。
(2)また、被告Bの行為は、形式上は保証委託契約にもとづく保証料の徴収のように見えるが、保証料名目での暴利を貪るための行為であり、出資法に違反する悪質な違法行為であり、法律上の保護を受けるに値しないものである。
さらに、被告Bは、被告Aの貸付が日賦貸金業者の特例とした定められた規制金利の上限利率でおこなわれていたことを知っていながら、被告Aに対し、被告Bの保証を受けることを条件に貸付をさせることを許していたのみならず、保証委託契約の締結業務を被告Aに任せていた。
そうすると、被告Aと被告Bは共同して前記(1)の不法行為を行ったものであり、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負うものである。
5 原告の被った経済的損害
(1)被告らの不法行為によって原告が被った損害は、別紙金利計算書「支払額」欄記載の、原告が被告Aに対して交付した金98万7000円、原告が被告Bに対して交付した保証料金27万円の合計金125万7000円である。
(2)原告は、本件訴訟のために、やむなく司法書士に対し訴訟代理を委任したものであるが、その司法書士費用としては金10万円が相当である。
(3)これに対し、原告は本件不法行為に際し、被告Aから、別紙金利計算書「貸付」欄記載の金額の合計金127万1050円を受領しており、同額だけ損害が填補されたものと見ることができる。
6 よって、原告は、被告らに対し、各自連帯して、不法行為による損害賠償請求権として、賠償額金125万7000円及び司法書士費用金10万円の合計である金135万7000円から損害が填補されたとみなされる金127万1050円を差し引いた金8万5950円並びにこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済み至るまで民事法定利率である年5パーセントの割合による損害金の支払いを求める。

投稿者プロフィール

古橋 清二
古橋 清二
昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A
浜松西部中、浜松西高、中央大学出身
昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる
平成2年 古橋清二司法書士事務所開設
平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立

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古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立

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