会社法施行にあたって(2006年5月30日のブログより)

5月1日から会社法が施行されました。会員のみなさまの実務は順調に推移しているでしょうか。
私が副会長に立候補した際、その所信として、会社法施行に対する的確な対応を掲げさせていただきました。これは、昨年施行されました改正不動産登記法に対して、日司連のリードが必ずしも満足いくものでなかったため、会社法については日司連を頼ることなく地元で研究をして静岡から会社法の実務をリードしていく必要があると強く感じたからです。
幸い、昨年度、会社法対策委員長に任命されましたので、昨年度は会社法に対する内部研修・実務体勢の充実に力点を置き、毎回200名前後の会員をお招きして特別研修を開催するなど極めて充実した研修を実施することができました。私の知る限り、質、ボリュームともに全国トップレベルの研修を行うことができたと自負しております。
特別研修の実施にあたり、定款作成の基礎部分は浜松の若手勉強会である司法研究会の資料を参考にさせていだきました。従来の商法の感覚にとらわれず、会社法の精神を盛り込んだすばらしいモデル定款を提供していただきました。また、このモテル定款を基礎にして、熟練の会社法対策委員の方々に創意ある資料と書式を提供していただきました。司法研究会、会社法対策委員会ともに大変な作業を強いてしまいました。この紙面をもって感謝申し上げます。
両者とも限られた資料の中での作業でしたので、通達等が明らかになった時点で若干の軌道修正をしなければならないところもありましたが、いずれも貴重な資料を提供していただき、時間が許せば書籍化してもおかしくない内容でした。ちなみに、過日、関東ブロック司法書士協議会から若干のマニュアルが配布されましたが、実は、この土台となっているのはこれら静岡から提供した資料であることを付言しておきます。
さて、本年度の会社法対策委員会は、会社法に対する対外的な広報と知識の普及に努めてまいります。また、会社法特別研修では深く触れることができなかった組織再編等についても知識を深めていく必要があると考えております。
資格者間の業際問題が賑やかな今日、「会社法は司法書士」と言われ続けるよう、会員のみなさまに更なる情報提供をしていきたいと考えております。

投稿者プロフィール

古橋 清二
古橋 清二
昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A
浜松西部中、浜松西高、中央大学出身
昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる
平成2年 古橋清二司法書士事務所開設
平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます

  • 相続させる旨の遺言の存在と遺産分割協議の可否相続させる旨の遺言の存在と遺産分割協議の可否 相続させる旨の遺言の存在と遺産分割協議の可否 簡単な問題のようで、実は奥が深い。 相続させる旨の遺言が効力を生じると(つまり、遺言者が死亡すると)、即座に遺言の効力が生じて物権変動の効果が生じるというのが最高裁の判例の趣旨である。そこで、このような遺言が存在していることを知りながら、相続人間で同一物件について遺産分割できるかどうかが問題となる。なぜなら、すでに所有 […]
  • 2021民法・不動産登記法改正を研究する 第6回 不動産登記法改正案 ~相続人申告登記とは?~2021民法・不動産登記法改正を研究する 第6回 不動産登記法改正案 ~相続人申告登記とは?~ https://youtu.be/X3y2LmHrYb8
  • 相続っていつ始まるの?相続っていつ始まるの? 【動画】相続っていつ始まるの? https://www.youtube.com/watch?v=qqdnleMn-gs
  • 雨のち晴れ雨のち晴れ 雨のち晴れ   不自然な歩き方をする彼の足が義足であることがわかったのは、 面談を始めて30分ほど経ってからだった。  彼は現在無職であり、月6万円程の障害年金を受給している。 また、彼の傍らに寄り添っている妻も精神障害を負っており、月6万円程の障害年金を受給しているという。  彼の負債はT社1社のみで約100万円である。 […]
  • 古い登記の抹消登記手続請求訴訟は司法書士の専門性を発揮できる訴訟だ古い登記の抹消登記手続請求訴訟は司法書士の専門性を発揮できる訴訟だ  ここ数日、古い登記の抹消手続請求訴訟は相続により被告が大勢になり、いろいろなことが起きることを書いてきた。  送達の問題など、いろいろなことが起きることはともかくとして、この手の訴訟は司法書士の専門性が最大限に発揮できる訴訟だ。だから、司法書士としては絶対にマスターしておかなければならない。  その専門性を発揮する場面の第一は、戸籍を調査することによって相続人を確定する […]
  • 大根十耕と新人研修大根十耕と新人研修  大根十耕とは、「大根の種を蒔く前に土を十回耕せ」と言う意味です。 大根のような根物は、土の塊や石などがあると、曲がったり、又根になったりして真っ直ぐ伸びず、品質が落ちてしまうのです。  そろそろ大根の秋まきの時期です。10回は無理ですが、耕耘機でよ~く耕して畝を作りました。左側は表面をならした畝、右側はこれから表面をならす畝です。  ところで、今、静岡県司法書士会では […]
  • 自筆証書遺言にパソコンで作成した目録を添付したいのですが、目録は表裏印刷でもいいですか自筆証書遺言にパソコンで作成した目録を添付したいのですが、目録は表裏印刷でもいいですか 自筆証書遺言にパソコンで作成した目録を添付したいのですが、目録は表裏印刷でもいいですか  自筆証書遺言と一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書でなくてもかまいませんし、表裏印刷でもかまいません。ただし、偽造や変造防止の観点から、自書ではない目録を添付する場合には、遺言者は、その目録の毎頁に署名し、印を押さなければなりませんの […]
  • 所在不明株主のリスクと対策所在不明株主のリスクと対策 所在不明株主のリスクと対策 「株主に連絡がとれない」  こうしたご相談をいただくことがしばしばあります。連絡がとれない株主であっても自動的には株主の地位は喪失しません。このような株主であっても、他の株主と同様に管理をしていく必要がありますが、将来、事業承継やM&Aが行われる際には、大きな問題となる可能性があります。  たとえば、会社の株式をすべて第三者に譲渡して事業承継 […]
  • 自筆証書遺言を加除・訂正したいのですが、遺言書作成時に押捺した印鑑を紛失してしまいました。加除・訂正は違う印鑑でもいいですか自筆証書遺言を加除・訂正したいのですが、遺言書作成時に押捺した印鑑を紛失してしまいました。加除・訂正は違う印鑑でもいいですか 自筆証書遺言を加除・訂正したいのですが、遺言書作成時に押捺した印鑑を紛失してしまいました。加除・訂正は違う印鑑でもいいですか  自筆証書遺言中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更 […]
  • 可分債権を遺産分割の対象とすることの可否可分債権を遺産分割の対象とすることの可否 【可分債権を遺産分割の対象とすることの可否】 貸金債権のような可分債権の相続においては、当該債権が遺産分割の対象となるかどうかが問題となります。判例では、被相続人が相続開始時に有していた貸金債権は、相続開始とともに当然分割されて各相続人に法定相続分に応じて帰属することになるため、遺産分割の対象とならないとされています(最判昭29.4.8)。  しかしながら、裁判所の実務で […]
  • 【動画】誰が相続人になる? 法定相続分は?【動画】誰が相続人になる? 法定相続分は? 【動画】誰が相続人になる? 法定相続分は? https://youtu.be/UD0z9EcBiwI
  • 不動産関連業者にビッグチャンス到来! 相続登記が義務化されます不動産関連業者にビッグチャンス到来! 相続登記が義務化されます
  • 【動画】令和元年9月25日、あかし運営グループの勉強会にて、配偶者の居住の権利に関する基礎的知識について内納隆治が講義しました。【動画】令和元年9月25日、あかし運営グループの勉強会にて、配偶者の居住の権利に関する基礎的知識について内納隆治が講義しました。 令和元年9月25日、あかし運営グループの勉強会にて、配偶者の居住の権利に関する基礎的知識について内納隆治が講義しました。 2020年4月1日から施行される配偶者居住権。しっかり準備したいものです。 https://youtu.be/FdeYYTccr8w   […]
  • 2021民法・不動産登記法改正を研究する 第22回 改正民法 ~事例問題 工場敷地内に所有者不明土地が! 所有者不明土地管理命令は使えるか!~2021民法・不動産登記法改正を研究する 第22回 改正民法 ~事例問題 工場敷地内に所有者不明土地が! 所有者不明土地管理命令は使えるか!~ https://youtu.be/yo4yvVbznn0
  • 障子を開けてみよ、外は広いぞ障子を開けてみよ、外は広いぞ 障子を開けてみよ、外は広いぞ  「世界のトヨタ」の源流、豊田佐吉は慶応3年に今の静岡県湖西市に生まれた。第一次大戦後、紡績機の改良に取り組んでいた佐吉が中国に進出しようとした際、周囲は大反対。その際、佐吉は「障子を開けてみよ、外は広いぞ」と言い放ち、周囲を説得したという。その精神は現在のトヨタにも受け継がれているのではないか。 写真は、昨日、不動産の決済立ち合いで立ち寄っ […]
  • 仮換地の従前地に登記する賃借権登記の借賃の記載方法仮換地の従前地に登記する賃借権登記の借賃の記載方法 仮換地の従前地に登記する賃借権登記の借賃の記載方法  賃借権登記の登記事項である借賃は、土地毎に登記するものとされている。例えば、A、B、Cという3筆の土地を月額10万円の借賃で借りるとしても、登記は、A、B、Cそれぞれの土地毎に賃料を登記しなければならない。もちろん、A、B、Cはそれぞれ面積が異なるし、方角や道路との位置関係も全く異なる。賃貸借契約の当事者は、あくまでも全 […]
  • 出席した監査役の押印のない取締役会議事録出席した監査役の押印のない取締役会議事録 取締役会議事録に、出席した監査役の記名はあるが押印がない場合には、会社法369条3項違反となり、取締役会議事録として取り扱うことはできない (平成18年6月13日東京司法書士会説明会配付資料・東京法務局民事行政部法人登記部門) […]
  • 経営革新等支援機関に認定されました(平成30年12月21日付)経営革新等支援機関に認定されました(平成30年12月21日付) 経営革新等支援機関に認定されました!  当事務所は、平成30年12月21日付で、東海財務局及び関東経済産業局から、「中小企業経営力強化支援法」(中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律)に基づく「経営革新等支援機関」として認定を受けました。 認定支援機関とは?  経営革新等支援機関(認定支援機関)は、中小企業・小規模事業者が安心して経営相談等が受けられるために、専門知 […]
  • 2021民法・不動産登記法改正を研究する 第1回 法制審議会第1回議事録を読んでみる2021民法・不動産登記法改正を研究する 第1回 法制審議会第1回議事録を読んでみる  令和3年2月2日、「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」が閣議決定されました。そこで、それまでの法制審議会の議論、同審議会に提出された資料等を順次検討していきたいと思います。  また、同審議会の議事内容、同審議会に提出された資料等を整理し、本ページ作成者の独断で、色つけ、アンダーライン、注記等の処理をした下記のページを更新中です。まだまだ十分に […]
  • 【動画】年末に活躍する確定日付! こんな使い方があります。【動画】年末に活躍する確定日付! こんな使い方があります。 【動画】年末に活躍する確定日付! こんな使い方があります。 https://youtu.be/dUr6MqNVars

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)