最近、「web会議システムを利用して開催した取締役会議事録はどのように作成すればいいか」というご質問を受けることがあります。
この問題に対しては、平成14年に電話会議システムについて法務省から通達が出されています。
平14.12.18民商第3045号民事局商事課長通知
電話会議システムにより出席者の音声が即時に他の出席者に伝わり,出席者が一堂に会するのと同等に適時的確な意見表明が互いにできる状態となっていることが確認できるような電話会議の方法による取締役会議事録は,適式な取締役会議事録と認められる。
電話会議システムによる取締役会が適法とされるのは取締役間の協議と意見交換が自由にできる状況であることが前提ですので、単に会議の場にいない取締役と電話で通話し、その意見を伝達して決議をしたにすぎない場合は通達の要件を満たしていないものと考えられます。
テレビ会議システムについては、取締役間の協議と意見交換が自由にでき、相手方の反応がよくわかるようになっている場合、すなわち、各取締役の音声と画像が即時に他の取締役に伝わり、適時的確な意見表明が互いにできる仕組みになっていれば、取締役会として開催することができると考えられています。
したがって、web会議システムもテレビ会議システムと同様に考えればよいと考えられます。
以上のように、通信機器を用いて開催された取締役会の議事録を作成する場合には、以上の通達等の要件を満たしていることを明らかにする必要があります。
たとえば、「定刻、代表取締役〇〇〇〇は議長席に着き、本日の取締役会は、web会議システムを利用し行う旨を述べ、出席者が一堂に会するのと同等に適時・的確な意見表明が互いにできる状態となっていることを確認した。」「以上、本日のweb会議システムを用いた取締役会は、終始異状なく議題の審議を終了したので、議長は午前○時○○分閉会を宣した。」などと記載することが考えられます。