当会社の100%子会社の臨時株主総会を開催するにあたり、議決権行使をすることができる株主を確定するために基準日を設定し、公告をすることが必要でしょうか。なお、子会社の定款には「当会社は、取締役の過半数の一致によりこれと異なる日現在の株主名簿に記載された株主が、その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使すべき株主とすることを定めることができる。この場合には、その日の2週間前にこれを公告するものとする。」と定められています。

ご質問のケースでは基準日を設定する必要はないものと考えます。

 株主総会に出席して議決権を行使することができる株主は、本来であれば議決権行使時点、すなわち株主総会当日の株主とするのが原則です。しかしながら、株主が大勢で日々変動する会社において株主総会当日の株主を確定するのが困難です。

 そこで、そのような会社では、前もって一定の日に株主名簿に記載又は記録された株主に対して議決権を与える基準日制度を採用して議決権を行使することができる株主を確定しているのが実情です。

 お尋ねのケースは、100%子会社ということですから、通常は株主に異動はなく、株主総会当日の株主は容易に確定できるものと考えられます。定款の規定も基準日を「定めることができる」と規定していることから、基準日を必ず定めなければならないということではありません。したがって、基準日を定める必要はないものと考えます。

 また、付け加えれば、招集手続を経ていない場合でも、株主全員が出席して総会を開催することに同意した場合には全員出席総会として、その決議は株主総会の決議としての効力を有します(最一判昭和46.6.24民集25巻4号596頁等)。したがって、この要件が整った場合には招集手続きを経ることなく有効に株主総会を開催することもできます。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立