【動画】主債務の履行状況に関する情報提供義務・期限の利益喪失時における情報提供義務

投稿者: | 2020年8月21日

【動画】主債務の履行状況に関する情報提供義務・期限の利益喪失時における情報提供義務

1.主債務の履行状況に関する情報提供義務

(1)改正の経緯

 保証人にとって、主債務者が主債務を履行しておらず遅延損害金が日々生じている状況にあることや、主債務の残額が幾らになっているかといった情報、すなわち、債権者が把握している主債務の履行状況に関する情報は、保証人として履行しなければならない保証債務の内容に関わる重要な情報であるが、旧法には、これらの情報を保証人に提供する義務を債権者に課す規定はなかった。

 また、法律の規定がなくとも、保証人からの問合せに応じて債権者が任意にこれらの情報を保証人に提供することはあり得るが、主債務の履行状況に関する情報は主債務者の財産的な信用に関わるものであり、これを法律の根拠なく保証人に提供することは守秘義務や個人情報保護の義務に反するおそれがあるとして、債権者としては保証人への情報提供を躊躇するとの指摘がある。

 他方で、主債務の履行状況に関する情報は主債務者の財産的信用に関わるものであることに照らすと、主債務者から委託を受けて保証人となった者でないものに対してまでその情報の提供が義務付けられるのは相当ではない。

 そこで、新法においては、債権者に対し、主債務者から委託を受けて保証一人になった者に対する主債務の履行状況に関する情報提供義務を課すこととしている。

(2)制度の概要

 民法458条の2 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。

 ① 定義

 定義1 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合であること。委託を受けた保証人であれば、個人でも法人でも適用がある。

 定義2 「債権者は、遅滞なく情報を提供しなければならない」の「遅滞なく」とは

  合理的な範囲の準備期間をとることは許されるが、合理的な範囲での準備期間を超えて情報提供が遅れることは許されない。

 定義3 提供する情報の内容

  a 主たる債務の元本

  b 主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの

  c 不履行の有無

  d 残額

  e 弁済期が到来しているものの額

 定義4 「弁済期が到来している」

  主債務の弁済期が到来していることを意味する。特約で、主債務の弁済期と保証債務の弁済期が異なる場合は主債務の弁済期が基準となる。

 ② 義務履行を怠った場合の救済

 保証人は、債権者を被告として情報提供請求の訴えを提起できる。

 

2.期限の利益喪失時における情報提供義務

(1)改正の経緯

 保証人の責任は、主債務者が支払を遅滞すると日々発生する遅延損害金によって増大していく。特に、主債務者が分割金の支払を遅滞するなどして期限の利益を喪失し、保証をした債務の全額について弁済期が到来した場合には、発生する遅延損害金の額が当初の想定以上に多額となり、個人である保証人にとっては、その負担は大きなものとなり得る。

 もっとも、主債務者が期限の利益を喪失したことを保証人が知ることができれば、保証人は早期に支払をすることで、多額の遅延損害金の発生を防ぐことが可能になる。

 しかし、主債務者が期限の利益を喪失したことは、保証人は当然には知り得る情報ではなく、旧法には、そのことを知る機会を保証人に対して保障する制度は設けられていなかった。

 そこで、新法においては、債権者に主債務者の期限の利益喪失時における情報提供義務を課すこととした。

(2)制度の概要

 主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人(個人の場合に限る)に対し、その利益の喪失を知った時から二箇月以内に、その旨を通知しなければならない。

 この期間内に期限の利益喪失した旨の通知をしなかったときは、債権者は、保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から同項の通知を現にするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除く。)に係る保証債務の履行を請求することができない。

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カテゴリー: 民法を学ぼう
古橋 清二

古橋 清二 について

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立

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