遺贈と所有権の対抗問題

【遺贈と所有権の対抗問題】

 Aが死亡し、相続人はXとYの2名です。Aは、「甲土地をTに遺贈する」との遺言を残していましたが、甲土地について、まだAからTへの所有権移転登記はしていませんでした。

 ところが、Yには借金があり、債権者であるKが、甲土地につきXとYに代位して、AからXY名義への相続を原因とする移転登記をしたうえで、Yの持分を差押えてしまいました。

 XY名義の所有権登記、差押登記は無効ではないでしょうか。

回答

 Tは、甲土地の所有権について、Kに対抗することはできません。

 判例は、「遺贈による物権変動の優劣は、対抗要件たる登記の具備の有無をもって決すると解するのが相当である」(最三小判昭和46年11月16日)としています。また、民法は、「不動産に関する物件の得喪及び変更は、その登記をしなければ、第三者に対抗することができない」(177条)としています。これらにより、Tは甲土地につき登記がなければKに対抗することはできません。

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