被相続人の預貯金の使途不明金

被相続人の預貯金の使途不明金

 相続の相談を受ける中で、「被相続人と同居していた相続人が被相続人の生前に被相続人の預貯金を使い込んでいたに違いない」という話が出てくることがある。遺産分割の話し合いの中でその点を明らかにして、相談者の相続分を少しでも有利に交渉したいという趣旨である。

 気持ちはよくわかる。だが、法的に考えると、仮にそういうことがあったとしても、生前に引き出されたお金が被相続人の手元にないのであれば、原則として相続財産を構成しないので、遺産分割の対象にはならない。したがって、遺産分割の話し合いの中にその件を取り込むことはできないのだ。

 もっもと、相続人全員が、その件も取り込んで話し合いをするというのであればそれはそれでいいであろう。こうした生前の使途不明金は、本来は不法行為又は不当利得の問題であるから、遺産分割の対象として取り込むとすれば、被相続人の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権として取り込むことになるのだろう。

投稿者プロフィール

古橋 清二
古橋 清二
昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A
浜松西部中、浜松西高、中央大学出身
昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる
平成2年 古橋清二司法書士事務所開設
平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます

  • こんなこともあるわさ。のんびり行こう!こんなこともあるわさ。のんびり行こう! 「○○町のAだけどね」  電話口の向こうで、声の感じから80歳は超えていると思われるその老人は、こう自己紹介をした。  電話でいきなりそう言われても、すぐに思い当たる顔は浮かばない。「Aさん、下のお名前は?」と聞いてみたものの、下の名前を聞いても思い当たる人物はいない。勇気を出して「あのー、失礼ですが、私の事務所でAさんのこと、どのような依頼を受けていましたっけ?」と聞い […]
  • 【動画】使命を胸に ~クレサラ被害救済活動の軌跡~【動画】使命を胸に ~クレサラ被害救済活動の軌跡~ 【動画】使命を胸に ~クレサラ被害救済活動の軌跡~  このたび、民事法研究会から「使命を胸に -青年司法書士の軌跡-」(全国青年司法書士協議会編)と題する書籍が発刊されました。  本書に寄稿した「クレサラ被害救済活動」について、執筆者である古橋清二に聞いてみました。   […]
  • 【動画】配偶者も子供もいない。親も亡くなっている。兄弟もいない。つまり、相続人が一人もいない。こんな時、相続はどうなる? 国のものになる?【動画】配偶者も子供もいない。親も亡くなっている。兄弟もいない。つまり、相続人が一人もいない。こんな時、相続はどうなる? 国のものになる? 配偶者も子供もいない。親も亡くなっている。兄弟もいない。つまり、相続人が一人もいない。こんな時、相続はどうなる? […]
  • あなたは料理を作る人? それとも食べる人?あなたは料理を作る人? それとも食べる人? あなたは料理を作る人? それとも食べる人?  今年も11月に司法書士試験の合格発表があった。来年1月から、中央新人研修、ブロック(静岡の場合は関東ブロック)新人研修、各単位会の新人研修、簡裁代理の認定考査のための特別研修、そして、静岡の場合は各事務所に配属されて行う6週間の配属研修が行われる。この間約4ケ月。これらの研修を受ける新人は、気力、体力はもとより、経済的にも大 […]
  • 法務大臣表彰拝受いたしました。でも、まだまだ終われません!法務大臣表彰拝受いたしました。でも、まだまだ終われません!   https://youtu.be/0pE_FfJk0rE  このたび、司法書士として法務大臣表彰を拝受いたしました。表彰基準は知る由もありませんが、察するところ、業務歴30年以上の単位会会長又は副会長経験者で、現在は役職を退いた者のうち単位会が推薦する者、というあたりかと思います。誠に栄誉なことと嬉しく受け止めていますが、残念ながらまだまだ「ご苦労さん」と言 […]
  • オレは人間国宝じゃないんだオレは人間国宝じゃないんだ オレは人間国宝じゃないんだ  昨日、「クレサラ問題で培ったノウハウは伝統芸能か?」というブログを書いたところ、さっそくメールがあり、入会3年以内ぐらいの若手司法書士諸君に伝統芸能を披露してくれないか、という話が舞い込んだ。「オレは人間国宝じゃないんだ」と冗談を飛ばしながらもちろん快諾したわけだが、その話を聞いた時に口から出たのは、自分でも意外だったが、「若い人は本当にやる気 […]
  • 遺産分割方法の指定と所有権の対抗問題遺産分割方法の指定と所有権の対抗問題 【遺産分割方法の指定と所有権の対抗問題】  父Aが死亡し、相続人は子供の私Xと弟Yの2名です。Aは、「甲土地をXに相続させる」との遺言を残していました。甲土地について、まだAからXへの移転登記はしていませんでした。  ところが、Yには借金があり、債権者であるKが、甲土地につきXとYに代位して、AからXY名義への相続を原因とする所有権移転登記をしたうえで、Yの持分を差押えて […]
  • 【動画】破産手続の諸問題 申立前に、信販会社から軽自動車の引き揚げを要求された場合【動画】破産手続の諸問題 申立前に、信販会社から軽自動車の引き揚げを要求された場合 【動画】破産手続の諸問題 申立前に、信販会社から軽自動車の引き揚げを要求された場合  別除権は、破産手続によらないでこれを行使することができるが(法65条)、行使の方法は通常の実行方法による。  ところが、破産手続開始後は、別除権の目的物が破産財団に属してしまうため、破産管財人を相手方として別除権を主張するためには別除権について対抗要件を具備している必要があると考えら […]
  • 【動画】司法書士のための電子署名入門【動画】司法書士のための電子署名入門 【動画】司法書士のための電子署名入門 https://youtu.be/8KHAJHw5Yd4   電子署名の現状 〜法的観点から〜 講義編 […]
  • 【期間限定】静岡県司法書士会少額裁判費用援助制度を利用して着手金実質5000円で受任できます【期間限定】静岡県司法書士会少額裁判費用援助制度を利用して着手金実質5000円で受任できます 【期間限定】 静岡県司法書士会少額裁判費用援助制度を利用して 着手金実質5000円で受任できます  静岡県司法書士会は、2020年4月1日から2021年3月31日までの間、次の要件にあてはまる訴訟代理・調停代理事件を受任する場合、少額裁判費用援助制度として、5万円を限度に着手金を援助することになりました。  当事務所では、下記の訴訟代理・調停代理事件についての着手金は […]
  • 【動画】台風の中、いざ大阪へ! 遺産承継業務静岡モデル、こちらも大荒れか? そして台風で飛んだ瓦の被害者内納司法書士、こちらも大荒れか?【動画】台風の中、いざ大阪へ! 遺産承継業務静岡モデル、こちらも大荒れか? そして台風で飛んだ瓦の被害者内納司法書士、こちらも大荒れか? 【動画】台風の中、いざ大阪へ! 遺産承継業務静岡モデル、こちらも大荒れか? […]
  • 【動画】誰が相続人になる? 法定相続分は?【動画】誰が相続人になる? 法定相続分は? 【動画】誰が相続人になる? 法定相続分は? https://youtu.be/UD0z9EcBiwI
  • 2021民法・不動産登記法改正を研究する 第14回 改正民法 共有制度の見直し ~共有物の変更・管理の内容に関する新しい非訟手続し~2021民法・不動産登記法改正を研究する 第14回 改正民法 共有制度の見直し ~共有物の変更・管理の内容に関する新しい非訟手続し~ https://youtu.be/yBZtT-0ID9g
  • 【動画】株主総会議事録 誰がどんなハンコを押せばいいの?【動画】株主総会議事録 誰がどんなハンコを押せばいいの? 【動画】株主総会議事録 誰がどんなハンコを押せばいいの? https://youtu.be/xwdgjmq1P90
  • 株式の消却と発行可能株式総数株式の消却と発行可能株式総数 株式の消却による変更の登記の手続において、登記すべき事項は,発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数並びに変更年月日である。 会社が自己株式を消却しても,定款を変更しない限り,発行可能株式総数及び発行可能種類株式総数は,減少しない。 (平成18年3月31日法務省民商第782号) なお、この点は、株式の併合の場合においても同様である。 (商事法務1768 6頁) […]
  • 相続分の指定と所有権の対抗問題相続分の指定と所有権の対抗問題 【相続分の指定と所有権の対抗問題】 父Aが死亡し、相続人は子供の私Xと弟Yの2名です。Aは、「Xの相続分を3分の2、Yの相続分を3分の1とする」との遺言を残していました。この遺言をもとにXは甲土地全てを含む遺産の3分の2を、Yが預貯金から残りの3分の1を相続することになりました。甲土地について、まだAからXへの所有権移転登記はしていませんでした。 ところが、Yには借金があ […]
  • 非取締役会設置会社における取締役及び代表取締役の就任による変更の登記に印鑑証明書を添付する場合非取締役会設置会社における取締役及び代表取締役の就任による変更の登記に印鑑証明書を添付する場合 ○代表取締役の選任を証する書面に係る印鑑証明書(商登規第61条第4項第1号,第2号) 次に掲げる印鑑につき,当該印鑑と変更前の代表取締役が登記所に提出している印鑑とが同一である場合を除き,市区町村長の作成した証明書を添付しなければならないとされた。 (a) 取締役が各自会社を代表するときは,議長及び出席した取締役が議事録に押印した印鑑 (b) […]
  • 6時間で6万円のセミナーに自主参加して、研修義務化にますます疑問6時間で6万円のセミナーに自主参加して、研修義務化にますます疑問 6時間で6万円のセミナーに自主参加して、研修義務化にますます疑問  15日、東京の永田町で6時間6万円のセミナーに参加した。交通費を入れれば7万5000円だ。どんな内容のセミナーか、その内容は明かせないが、それだけ出費しても出席した甲斐があった。  セミナー参加者は8名で、IT企業の経営者、中小企業診断士、美容院商材販売会社等なかなかおもしろいメンバーだった。そして、一人 […]
  • 特別寄与料の請求権者特別寄与料の請求権者 【特別寄与料の請求権者】 相続人以外の者が被相続人の財産の維持や増加に特別の寄与をした場合、どのような者でも特別寄与者として特別寄与料を請求できるのですか。   特別寄与者は被相続人の相続人ではない親族に限られます。 親族とは、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族をいいますが、このうち相続人ではない者が被相続人の財産の維持や増加に特別の寄与をした場合には、 […]
  • 【動画】滞納したマンション管理費の回収を依頼されました。もっと早い段階で依頼していただければ裁判外で交渉してもよかったかもしれませんね。【動画】滞納したマンション管理費の回収を依頼されました。もっと早い段階で依頼していただければ裁判外で交渉してもよかったかもしれませんね。 【動画】滞納したマンション管理費の回収を依頼されました。もっと早い段階で依頼していただければ裁判外で交渉してもよかったかもしれませんね。ともあれ、和解で解決できてよかったです。 https://youtu.be/sA8wuGg9QXM […]

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)