司法書士の裁判関係業務の現状とこれを巡る諸問題 「市民と法」56号(2009年4月)より

司法書士の裁判関係業務の現状とこれを巡る諸問題
   ~債務整理業務を中心として~

1.はじめに
 平成14年に成立した「司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律」(平成14年法律第33号。以下、「司法書士法」という。)では、法務省令で定める法人が実施する研修であって法務大臣が指定するものの課程を修了した者であること、その修了した者の申請に基づき法務大臣が簡裁訴訟代理関係業務を行うのに必要な能力を有すると認定した者であること、司法書士会の会員であること、のいずれをも満たす場合(以下、「認定司法書士」という。)は、一定の範囲で、簡易裁判所における手続の代理(司法書士法3条1項6号。以下「訴訟代理」という。)、民事に関する紛争の相談又は裁判外の和解についての代理(同条同項7号。以下、「和解代理」といい、「訴訟代理」と併せて「簡裁訴訟代理関係業務」という。)をすることができることとなった(注1)
 それまで、簡易裁判所の訴訟代理人は、許可代理人を除き弁護士に限られていたが、認定司法書士が出現したことにより、平成19年には簡易裁判所における認定司法書士の訴訟代理が弁護士の代理件数を上回ることとなり(注2)、司法制度改革審議会が指摘していた、弁護士の地域的偏在による弊害が改善されつつある。また、正確な統計は存在しないが、和解代理についても、消費者信用事件を中心に、相当な数の事件が認定司法書士によって取り扱われていると推測される。
しかし、一方で、かつては経験したことのない訴訟代理権、和解代理権という権限を持った認定司法書士とその依頼者との間で紛議調停が行われたり、権限の不正な行使による懲戒請求や、ある程度定型化されてきた多重債務事件についての広告や報酬のあり方が議論の遡上に上るなど、倫理面での問題が指摘されている(注3)。また、和解代理の事物的範囲については、立法当初から「注釈司法書士法」(小林昭彦・河合芳光 テイハン(以下、「注釈」という。))等によりその趣旨が示されていたところ、弁護士会等は注釈とは異なる見解を示しており、近時、判決理由中において注釈と異なる見解を示した裁判例も出されている(注4)。このように、認定司法書士の簡裁訴訟代理関係業務をめぐる議論は多方面に亘っている。
 そこで、本稿では、簡裁訴訟代理関係業務が最も多く活用されている債務整理事件に関し、和解代理の事物的範囲について諸説を再検討して考察したうえで、認定司法書士の債務整理業務と民事訴訟手続上の問題、認定司法書士の倫理に関する問題(とりわけ、広告および報酬)について、個人的な意見を述べることとする。

2.弁済猶予・分割払いを企図する和解代理の事物的範囲
 認定司法書士が、140万円を超える債務を負っている債務者についてその代理人として弁済の猶予や分割払いの和解交渉をする場合に、司法書士法が定める和解代理の事物的範囲をどのように考えるか、また、その場合、代理権の範囲が画される「140万円」(裁判所法33条1項1号に定める額)という基準は、個別の債権者毎に考えるのか、当該債務者が抱える負債の総額で考えるのか、という問題につき議論されることがある。
そして、その中心的課題は、和解代理について定めた司法書士法3条1項7号所定の「紛争の目的の価額」は、訴訟代理について定めた同条同項6号の価額と同義であるか否かという論点であると考えられる(注5)
 これについて、まず、立法の趣旨が示されているとされる注釈(117頁)では、「多重債務者のいわゆる債務整理事件について司法書士が裁判外の和解について代理することができる範囲は、債務弁済協定調停事件や特定調停事件における代理権の範囲と同様の基準によって判断するとされている。したがって、「紛争の目的の価額」の算定は、通常は(残債務額について争いがない場合は)、残債務の額ではなく、弁済計画の変更によって債務者が受ける経済的利益による(なお、残債務額についての争いの場合は、その当事者間の主張の差額が経済的利益になるものと考えられる。)としており、訴訟代理と和解代理の範囲とは同様の基準によって判断する旨が示されている。
 また、実務的な手引きである「法律扶助ハンドブック」(注6)においても、「任意整理事件を司法書士が代理することができますか」という設問(28頁)に対し、「残債務が140万円以上であっても、依頼者の受ける経済的利益が1社あたり140万円以内であれば、代理することができます」と回答しており、注釈と同様の見解に立っている。
 ところが、神戸地裁平成20年11月10日判決(以下、「神戸判決」という。)(注7)は、その理由中で、「訴訟代理権の範囲と裁判外代理権の範囲とは一致すると理解しなければならない」としながらも、司法書士「法3条7号所定の「紛争の目的の価額」の意味も同条6号各号の価額と別異に解する理由はないから例えば、金銭債権に関する紛争が存する場合の「紛争の目的の価額」は、原則として債権者が主張する債権額を意味することになる」としている。この見解は、明らかに注釈等の見解とは異なる。
 訴訟代理の規定である司法書士法3条1項6号では、イとして訴訟手続を、ロとして起訴前の和解手続及び支払督促の手続を、ハとして証拠保全手続及び民事保全手続を、ニとして民事調停手続を、それぞれ規定しているが、和解代理を規定している同条同項7号を解釈する場合においても「別異に解する理由はない」のであれば、和解代理として行おうとする行為を前記イ乃至ニに規定する手続に照らして「紛争の目的の価額」を定めることになるため、140万円を超える債務について認定司法書士が特定調停代理人として調停手続を遂行することは可能であるのだから、論理的帰結としては、同様の事案について和解代理を行うことも可能である。
 ところが、神戸判決は「例えば、金銭債権に関する紛争が存する場合の「紛争の目的の価額」は、原則として債権者が主張する債権額を意味することになる」として、140万円を超える債務について認定司法書士が和解代理として行った和解契約について、「本件和解締結行為が非弁行為にあたらないとする被告の主張は失当である」と判断しているのである。
 加えて、神戸判決は、上記イ乃至ニの区分けをすることなく債権者主張額を基準と考えなければ、①犯罪構成要件でもある弁護士法72条の適用の有無は、できるだけ明確である必要がある、②依頼者と司法書士の利益相反が生じる、③裁判外交渉が決裂して訴訟手続となった場合、司法書士制度を利用する国民に不便を強いることになる、という「弊害」が生じることになるとも述べている。
 しかしながら、①和解代理の範囲について立法趣旨は立法当初から既に明確にされている、②和解内容にしたがって履行をするのは依頼者本人であって依頼者の資力や意向を確認せずに和解の提案することはあり得ず、認定司法書士が恣意的に紛争の範囲を変更することは不可能である、③弁護士の増員等が実現していない現状において、国民の権利擁護に不十分な現状を少しでも改善するために隣接法律専門職種である司法書士に一定の限度で簡裁訴訟代理関係業務を付与するに至ったのであり(注7)、認定司法書士が限定的な簡裁訴訟代理関係業務を行うに当たっては、完全な代理権行使を伴う法的サービスを行うことは当初から予定されていないのである。
 そもそも、司法書士に簡裁訴訟代理関係業務が付与えられた趣旨は、価額が少額な紛争について裁判所の手続であると裁判外の手続であるとを問わず、認定司法書士が代理人としてスムーズな紛争解決を図ろうとするものであり、その事物的範囲を裁判所法33条1項1号に定める額により画しているのである。したがって、同一の事案において認定司法書士が調停代理人にはなれても裁判外の代理人になることはできないということを想定してなされた立法でないことは明らかである。
 したがって、神戸判決の指摘する「弊害」は一面的な見方であり、一定の限定的な簡裁訴訟代理関係業務であっても、国民に対する法的サービスに大きく寄与しているという見方をすべきであろう。
 これまでも、認定司法書士の和解代理の範囲に関し、注釈により明らかにされている立法趣旨よりも狭く捉える見解が弁護士界から主張されていた(注8)。神戸判決は控訴審において審理中であるが、和解代理の範囲についての複数の見解の併存は、認定司法書士が代理してした和解契約そのものの有効・無効に直接係わることになるだけに、立法趣旨を再度明らかにするための新たな立法的措置を含め、速やかに合理的な解決がなされることが望まれる。

3.過払金が140万円を超えた場合の対応について
 債務整理に関し、債権調査を経て過払金が140万円を超えることが判明した場合は、認定司法書士の和解代理権は当然に喪失する。
 もっとも、高利貸金業者に対する債務整理を受任する段階では利息制限法引直残高を確定できないので、認定司法書士は、とりあえず簡裁訴訟代理関係業務における代理人として代理権を行使することができるとされているが(注9)、債権調査の結果、過払金が140万円を超えることが判明した場合には、簡裁訴訟代理関係業務は終了するのである。そこで、その時点からは、代理権を伴わない裁判書類作成関係業務(司法書士法3条1項4号)として本人訴訟支援を行うこととなる。
 ところが、このような場合においても、訴訟書類の作成という支援ではなく、本人名や司法書士名を付記した形式で過払債務者に対し返還請求を申入れて、過払債務者との和解を成立させたり、同様な形式で過払請求をしたうえで一部の請求を放棄し、和解代理の範囲である140万円以内に収めて代理人司法書士名で和解契約を締結するなどの行為が行われて例があるようである。しかし、司法書士がこうした方法により和解を締結する行為は、それが代理人名義であろうが本人名義であろうが、司法書士法上の根拠を見いだすことができない。なぜなら、裁判書類作成関係業務には、裁判手続を前提としない和解契約書の作成という行為は含まれないと解されるからである。さらに言えば、140万円を超える過払金が発生している場合において、一部の請求を放棄して司法書士名で140万円以内の金額で和解を締結したとしても、和解代理権を既に喪失している以上、無権代理行為として和解契約自体が無効と解される余地があり、また、依頼者の利益を損ねる行為として懲戒事由にも該当すると考えられる。
 したがって、過払金が140万円を超えることが判明した場合の司法書士の対応としては、裁判書類作成関係業務として本人訴訟を支援するか、弁護士に委任することを勧めるか、本人が直接交渉をするかのいずれかの選択しかないと考えられる。

4.裁判書類作成関係業務における送達受取人の問題
 訴訟当事者は、送達場所を受訴裁判所に届出る義務を負っている(民事訴訟法104条1項前段)。この制度は、送達が困難な状況で審理が遅延し、相手方当事者が不利益を被ることを防止するための制度であり、現在では、核家族化、共働き家庭の増加等により、週日の昼間は世帯全員が不在である家庭が増加していることなどから、送達実施機関が受送達者またはその同居人・従業員等に出会う蓋然性の高い場所の届出義務を課したものであるとされている(注10)
 また、訴訟当事者は、送達場所とともに送達受取人を届出ることもできる(同条同項後段)。
 認定司法書士が訴訟代理人となって訴訟遂行する場合は、受訴裁判所に対して当該司法書士事務所の住所を送達場所として届出がなされているが、裁判書類作成関係業務により本人訴訟を支援する場合においても、書類を作成した司法書士事務所の住所を送達場所として届出ている事案が多いようであり、場合によっては、受訴裁判所から、送達の困難を避けるために司法書士事務所を送達場所として届出るよう促されることもあるようである。
 本人訴訟において、訴訟当事者が司法書士事務所を送達場所として指定する実質的な理由は様々であろうが、次に採るべき訴訟行為や書類作成についても同一の司法書士に委任することを前提としていたり、日中は留守がちであり送達を受けることに支障がある、同居の家族には訴訟のことを知られたくない、といった理由が考えられよう。
 本人訴訟において司法書士事務所を送達場所と指定したり司法書士が送達受取人となることに対し、「訴訟代理権のない事件において、実質的には弁護士法72条に抵触する」という意見がある。これは、送達場所や送達受取人として司法書士が訴訟関係の送達を受けることにより、訴訟を遂行している本人を差し置いて司法書士の判断で訴訟関係書類が作成されたり、相手方当事者と交渉が行われる契機となることが想定され、実質的に司法書士の訴訟代理行為に匹敵する行為を容認することになるという懸念から出される指摘であると思われる。
 司法書士が、訴訟代理権のない本人訴訟を裁判書類作成関係業務を通じて支援する場合には、司法書士法の解釈上、司法書士の業務としては、依頼者本人から認否、反論、主張等を聞き取って、これを法律的に整序して書面を作成する範囲に限定される。ところが、たとえ上記のような手順により業務を遂行したとしても、司法書士を送達場所や送達受取人に指定している場合には、本人の反論・主張を聞かないで反論・主張を準備したり、本人の意見を差し置いて書面を作成しているのではないかという疑念を持たれかねない。
 司法書士法改正以前には、司法書士を送達場所・送達受取人として書類を作成していたケースは皆無であると思われ、事務連絡先として司法書士事務所のスタンプを書類の隅に押印することが励行されていた。司法書士法改正後においても筆者が扱う本人訴訟書類には同様の方法でスタンプを押しているが、送達場所・送達受取人になっているケースは1件たりともない。
 もちろん、裁判書類作成関係業務であっても積極的に送達受取人となることについて異なる意見や方法論も考えられよう。しかし、後述するような本人訴訟事件に関する報酬問題とも絡めて考えると、現状に於いて、果たしてその積極説を合理的に論証できるのか疑問である。

5.広告、報酬に関する問題
 国民が権利の実現を図るためには、司法書士に関する必要な情報が国民に提供されなければならず、必要かつ十分な内容と量の情報の提供を受けることができるよう、広告は原則として自由とされている。また、国民が権利の実現を図るため司法書士に依頼する場合にその報酬が明らかとなる必要があるが、報酬の額については依頼者と司法書士との合意により定めるものとされ、その前提として司法書士には報酬の明示義務が課せられている(注12)
 このように、司法書士の広告の自由化は国民に対する十分な情報提供に配慮されたものであり、また、報酬の自由化は国民の権利実現に対するコストを明確にして一定の競争原理を導入しようとするものであった。一方、司法書士が顧客の事件処理を放置していたり、報酬について顧客との間で紛争となる事例などが報告されているが、こうした問題は、広告、報酬の自由化と密接に関連している。なぜなら、事件処理遅滞については、広告が専ら顧客獲得の目的にのみ利用されることにより事件処理能力を超過した数の依頼を引き受けてしまうこと、報酬に関する紛争については、報酬明示義務が履行されずに依頼者との間で報酬に関する実質的な合意がないまま委任契約が結ばれてしまうということが、それぞれの主な要因であると考えられるからである。また、こうした事件処理遅滞や報酬に関する紛争は、いわゆる債務整理事件に多く見られる傾向がある。
 一般的に、債務整理事件で行われる司法書士の業務は定型化してきているものの、近年は、債権債務関係の処理のみならず、行政等と連携するなどして依頼者の生活再建にも資するべきとの期待も大きい。そのような状況のもとで、事件処理が遅滞したり報酬について紛争化し、本来の目的である生活再建に踏み出せない国民が一定の数存在していることは憂慮すべき事態である。
 司法書士の広告や報酬が自由化されてから10年近く経過するが、以来、広告、報酬に関する問題を公の場で議論することはタブー視されてきた傾向がある。しかし、現に、こうした「司法被害」が出ている以上、早急に議論を進める必要がある。

(1) 広告の問題
 広告が自由化されたことにより、都心部の鉄道や地下鉄に司法書士の広告が掲示され、新聞折込広告もなされるようになった。そして、地方の新聞にまで都心部に事務所を有する司法書士が折込広告を入れたり、戸別にポスティングを行っている。さらに、昨今は、新聞広告やテレビ、ラジオ等の媒体も利用されている。また、地域性に無関係のインターネットにおいても、「全国どこからでも相談可」といった広告が氾濫している。
 こうした広告を利用することにより、司法書士は遠隔地に居住する依頼者を受任することが一応可能となる。しかし、その弊害は大きい。
(A) 不十分な面談
 実際に、このような広告により遠隔地の司法書士に債務整理を依頼した方の話では、司法書士に面談することなく調査票のようなものを司法書士に送付するなどして債務整理を委任したり、面談するために司法書士の事務所へ行ったとしても、聞き取りのほとんどは事務員が行い、それ以降は司法書士には面談していないというケースがある。
債務整理事件は、依頼者の生活状況を包括的に聞き取り、個々の債権債務関係についても取引履歴や預金通帳等を確認し、整合しない部分を質していくことも必要である。また、債権調査等を経て具体的な方針や手続について打合せをする、依頼者の心情を汲み取りながら生活全般について後見的な役割を果たすなど、依頼者と濃密な信頼関係を構築する必要もある。
 したがって、依頼者に面談せず、又はほとんど事務員が面談するだけで債務整理事件を受任することは、依頼者の生活再建に役立っているとは言えない。
(B) 裁判管轄
 また、①過払金返還請求訴訟については貸金業者本店所在地又は依頼者の住所地を管轄する裁判所において提起することが原則であり、②破産、民事再生は債務者の住所地を管轄する地方裁判所に申立てることが原則であることを鑑みれば、遠隔地の司法書士がそれらの裁判を提起して維持していくためには、交通費の費用等を依頼者に負担して貰わなくてはならない。また、民事再生については各裁判所によって再生委員選任の要否、再生委員選任のための予納金額の差異などの実情を把握しておく必要があり、そうした知識なくして適切な手続選択をすることはできない。
(C) 行政等との連携
 さらに言えば、債務整理事件については各地域で司法書士と行政機関等との連携が行われており、債務の法的処理のみならず生活再建全般について様々な角度からサポートが行われているところ、遠隔地の司法書士では、そのような対応は困難である。
 したがって、依頼者から見れば、地理的に、依頼者がいつでも立ち寄ることができる場所に事務所を有する司法書士に事件を依頼することが望ましいことは明らかである。
(D) 事件の選り好み
 遠隔地の依頼者を獲得した司法書士には上記のような不都合が生じるため、事件の選り好みという現象が生じている。具体的には、①任意整理や過払金返還請求事件のみを受任し、破産、民事再生、ヤミ金事件は受任しない、②過払金返還請求事件を受任したとしても任意交渉で決着させ訴訟提起までは行わないため返還される過払額が低額となる、③ヤミ金事件については着手金を高額に設定しているため、事実上ヤミ金事件の依頼を受任せず、「警察に相談しなさい」、「地元の弁護士会に相談しなさい」などと排斥している、等の現象である。
 こうした現象が生まれた背景には、過払金の返還が一般化し、ある程度の金額的妥協をすれは比較的容易に過払金返還の示談が成立すること、過払金の回収については成功報酬を貰いやすいなど、コストパーフォーマンスが高いことが理由として考えられる。
これに対し、破産や民事再生は手続が煩雑でコストパーフォーマンスが低いこと、ヤミ金事件では電話等により司法書士が違法業者と応酬しなければならないことなどから、敬遠しているものと考えられる。
 言うまでもなく、依頼者が債務整理を欲する目的は、生活を経済的に立ち直らせことにある。一方、司法書士は、依頼者の利益を最大限に尊重すべき社会的責務を負っている。したがって、司法書士が、自己の都合により事件を選り好みして、依頼者の究極の目的である生活再建をないがしろにすることは許されない。

(2) 報酬の問題
 弁護士等の報酬は、依頼者との委任契約で定められるものであり、依頼者が合意するのであれば、原則としてその内容は自由であるとされている。
 しかしながら、報酬は、依頼事務の作業の対価、依頼に要した時間の対価、依頼事務の処理により得られた利益の対価であるということを鑑みれば、自ずと金額的基準を導き出すことができよう。
 ところが、債務整理の報酬に関して紛争となったケースでは、「高すぎる」という趣旨の苦情が多くみられ、その背景として、①委任契約書が依頼者に交付されていない、②報酬の説明が十分にされていない、という問題を指摘することができる。
債務整理受任時において一般的に言えることであるが、依頼者は多重債務で苦しんでおり、受任する司法書士との関係でいえば、法知識はもとより、精神的にも圧倒的に弱い立場にある。したがって、受任時に委任契約書や報酬表が明示されたとしても、依頼者がその内容について十分に理解しているとは言い難い。
そこで、債務整理事件の受任に当たっては、委任契約書を交付することはもとより、報酬表を必ず交付すること、また、当該報酬表にもとづき具体的な事例により計算した報酬計算例を示すことが必要である。
 また、債務整理に関する報酬は、その内訳として、着手金、減額報酬、成功報酬、支払代行報酬などが考えられるが、これらについても様々な運用がなされているようである。そこで、これらの区分別に報酬の計算方法の検討をしておく必要が出てくる。以下は、筆者の個人的な見解である。
(A) 着手金
 受任時に報酬の前払いとして依頼者から着手金を受領することが多いと思われる。一般的に、着手金とは、事件の依頼を受けた段階で、事件の結果に関係なく受領する報酬である。債務整理の場合は、債権者一社についていくら、「債権者数○社から○社まではいくら」などと定めている場合が多いと思われるが、多重債務者の多くが金銭的に余裕がないことを鑑みれば、なるべく低額、かつ分割払いへの対応が望まれる。
(B) 減額報酬
 紛争の相手方の請求額を減額して和解等が行われた場合、依頼者が免れた債務額に対して一定の率等により計算された金額として減額報酬を算定している例がみられる。
債務整理の場合、この減額報酬の対象となる差額について次のような分類をする必要があるのではないかと考えられる。
 ① 利息制限法の制限利率を超えた利息により計算された約定残高(以下、「約定残高」という。)と引直計算後の残高(以下、「引直残高」という。)との差額であって、債権者が約定残高を強固に主張している場合
 ② ①の差額であるが、債権者が約定残高に固執せず、引直残高を基準に交渉できる場合
 ③ 引直残高よりも和解金額が下回る場合のその差額
 上記のうち、①及び③については、その交渉等について労力を要するものであり、当該差額を対象として減額報酬を計算することは合理的であるとも考えられる。なお、筆者の経験では、①のタイプの約定残高を強固に主張する貸金業者は極めて少ない。貸金業者の圧倒的多数は約定残高を主張することなく、また、当初から、引直残高により取引履歴を開示する業者も少なくない。このような場合は、約定残高と引直残高との差額については弁護士等が何らの交渉をすることなく減額されたものであり、報酬が発生する根拠はないと思われる。
(C)成功報酬
 成功報酬とは、簡単に言えば、弁護士等の一定の行為が紛争当事者の権利義務に直接影響して依頼者に好結果をもたらした場合の報償的報酬と考えられる。
債務整理に関して言えば、成功報酬を検討する場面は過払金の返還を受けた場合が多いものと考えられ、その場合、返還を受けた額に一定の率を乗じた金額をもって成功報酬としているケースが多く見られる。
 報酬が問題となるケースでは、なかには、3割~5割、あるいはそれ以上の成功報酬を得ている例もあるようである。報酬が、依頼事務の作業の対価、依頼に要した時間の対価、依頼事務の処理により得られた利益の対価であることを考えると、これらの成功報酬は高すぎるのではないかと思われる。
 また、司法書士が代理権のない裁判書類作成関係業務において成功報酬を受領しているという話を聞き及ぶことがあるが、裁判書類作成関係業務においてはあくまでも本人が訴訟行為を行っているのであり、司法書士は書類作成を行っているにすぎない。したがって、その場合には、成功報酬という概念自体が発生しないと考えられる。
(D) 支払代行報酬
 支払代行報酬とは、ここでは、分割払いの和解が成立した後の和解に定めた弁済や、個人再生事件における再生計画の履行について、依頼者から司法書士が弁済金を預かって、継続的に代行弁済をする場合の報酬を指すものとする。
 依頼者本人にとっては、複数の債権者に対して毎月自ら弁済を行うよりも、総額を毎月弁護士等に送金するなどして預けさえすれば、司法書士が各債権者に振り分けて支払ってくれるため、メリットがある。
 支払代行報酬の定め方としては、1件(1回)支払うごとに一定額を定めたり、管理料として月当たりの金額を定めたりしているケースが多いと考えられる。
 一方、支払代行について弁護士等が行っている実際の業務の多くは残高管理であると考えられる。毎月の債権者への送金は金融機関の定額自動送金サービスを利用していることが多いと考えられるため、残高管理さえしていれば、送金の手間はあまりかからない。なお、残高が不足する場合には依頼者本人に連絡をしたり、残高に余裕のある場合には早期完済をするなどのサービスも重要である。
 こうした支払い代行は、多くの場合、依頼者本人の債務完済に大きく寄与し、その意義は大きいと思われる。しかし、支払代行は、依頼者に新しい経済的価値を生み出すものではないため、報酬を定めるとしたら、事務費実費程度であると考えられる。もっとも、上記のような支払い代行の意義に着目して定期的なカウンセリングをも行う場合には、そのカウンセリングの内容、頻度、依頼者に与える効果等を勘案して報酬を定めることも考えられる。

6 おわりに
 以上、債務整理を中心として、司法書士の簡裁訴訟代理関係業務・裁判書類作成関係業務に係わる諸問題について指摘と私論を述べてきたが、様々な方面から異論が出されることも予想される。それにしても、司法書士法改正から6年という短い時間しか経過していないにもかかわらず、これだけ多くの論点が出ていること自体、司法書士制度が未だ生成途中であり、常にプラス指向の法改正を意識しながら変化を続けている過程であると善解したい。
 しかしながら、とりわけ、広告、報酬に関する問題は、司法書士のみならず、弁護士も含め、その倫理感の欠如は制度を揺るがしかねない危うい水準まで来ているのではないかと憂慮している。早急に、各司法書士会がこれらの問題についてあらためて見解を示すとともに、そのあり方について議論がなされるべきである。その際に本稿が議論の材料となればさいわいである。

注1 司法書士法の成立の経緯、「一定の範囲」の解釈については「注釈司法書士法(第三版)」(小林昭彦・河合芳光 テイハン)に詳述されている。
注2 司法書士法改正後における簡裁通常訴訟の司法書士関与数についてみてみると、平成15年の代理人としての関与数が1,497件(弁護士・司法書士が代理人についた事件総数30,863件の約5%)であったものが、平成16年には、10,737件(弁護士・司法書士が代理人についた事件総数43,796件の約25%)、平成17年には、19,205件(弁護士・司法書士が代理人についた事件総数57,883件の約33%)、平成18年には、31,850件(弁護士・司法書士が代理人についた事件総数78,243件の約41%)、平成19年には、62,346件(弁護士・司法書士が代理人についた事件総数133,395件の約47%)と着実に実績を重ねている(司法統計参照)。
注3 日本司法書士会連合会主催の平成20年度消費者実務セミナーでは多重債務事件と司法書士の倫理について議論がされている。
注4 神戸地裁平成20年11月10日判決(判例集未搭載)は、判決理由中ながら、残元本額が140万円を超える債務について認定司法書士が残元本を確定し、改めて利息を合意し、残債務の繰り延べ弁済を合意する旨の和解を締結した行為について、当該和解は、残元本額、利息合意、毎月の分割弁済額、弁済回数のいずれをも見直した上で貸金債権に関する紛争解決を合意したものであり、債務全体が交渉の対象となっている以上、「紛争の目的の価額」が最終的に合意された金額を下回ることはあり得ないとした。また、さいたま地裁平成21年1月30日判決(兵庫県弁護士会ホームページ 新着★判例フォルダー)では、判決理由中において、司法書士の代理権の範囲について,過払金返還請求権の額と司法書士が締結した和解契約によって免除を得た借入債務の額の合算により判断されるとしている。
注5 また、この問題の前提には、特定調停や債務弁済協定調停について「調停を求める事項の価額」についての考え方を確認しておく必要があるが、この場合の価額は、残債務の額ではなく、残債務額の支払免除、猶予又は分割払い等により債務者が受ける経済的利益であるという考え方が確立しているので、紹介しておく。
○第154回国会法務委員会(平成14年4月9日)
「植田委員
 <中略>全部で二百万の借金をしていた。植田金融からは百万借りていた。下村金融からは五十万、山本金融からは五十万、計二百万森山さんという債務者が借りておられた。返済に窮して特定調停の申し立てをするとなれば、これは山本金融、植田金融、下村金融、全部一斉に、三社全部の調停が成立して初めて債務者森山さんの再生が可能となるわけです。五十万ぐらいだったら今の消費者金融は普通ですけれども、例えば今例に挙げた植田金融みたいに、百万円ぐらいぼんとやる、やや悪質な、たちの悪い金融屋もいるわけでございますよね。そうした場合、全部を処理しないことには、実際、債務者の言ってみれば再生というものが受けられないわけです。
 そこで、森山債務者さんが、町で優秀だと言われている横内さんという司法書士さんに御相談に行かれた。そして、いろいろ相談に乗った。話を聞きました、下村金融と山本金融の五十万はできるけれども、あの植田金融のものはちょっと相談できませんね、そういう局面もあるんじゃないのかなと思うわけですが、この場合、仮に例えば五十万、五十万、百万だったらどうでしょうか、全部司法書士さんできますか。
房村政府参考人
<中略>そういう形の特定調停を求めたときに、調停を求める事項の価額、これをどう計算するかといいますと、その場合は当事者の受ける利益は、債権額ではなくて、支払い猶予もしくは分割弁済をすることによって受ける利益、これが調停を求める事項の価額となります。したがいまして、百万円の債権についてその弁済猶予であるとかあるいは分割弁済を求める調停の申し立てをした場合、その弁済猶予によって得る利益、分割によって得る利益ですから、当然百万よりはるかに下の額になります。
 したがいまして、今御指摘のような五十万、五十万、百万で、トータルでは二百万、これについて三件の特定調停を申し立ててやるという場合を考えますと、よほど特別な事情がない限りは、まず全部の事件について九十万の範囲内で司法書士の方が代理人になれるということだろうと思います。
植田委員
 <中略>司法書士さんで全部賄えるだろうということですが、これは、今みたいに二百万ぐらいの特定調停するぐらいだったら、親からでもちょっとお金を借りて何とか返す方を考えますわね、そんな金額的には。やはり金額がごっつなってくると、例えばA、B、Cといろいろなところからつまんでいました、いろいろ考えたら、そのうちの一つぐらいは司法書士が関与できないケースも当然出てきますよね。そういうケースも考えられますよね。
房村政府参考人
それは事件の額によるわけですが、基本的に申し上げますと、例えば、一年間の支払い猶予によって得る利益というのは、その間のどの程度の利益を得るかということを算定するわけですから、そういう支払い猶予とか分割弁済で得る利益というのは相当額が低いわけです。ですから、支払い猶予で受ける額が九十万を超えるような債権というのは元本は物すごく大きなものになるはずで、おっしゃるような形で何社もから借りている場合に、そういうものが入っていることは通常はないのではないかとは思います。」
(当時、裁判所法33条1項1号において定める額は90万円であった)
○支払猶予や分割払いにより申立人が経済的利益を受ける場合の「調停を求める事項の価額」は、残債務の額ではなく、残債務額の支払免除、支払猶予または分割払い等の弁済計画の変更により申立人が受ける利益である(「債務の調整に関する調停事件執務資料」4頁(法曹会 平成12年)。
○債務弁済協定調停事件の場合は、金銭債務の履行猶予期間または分割弁済の期間を明確にできるときには、債務額にその期間に対応する年6分の法定利息を乗じて得た額を「調停を求める事項の価額」とし、申立時に残債務額や期間などが不明確な場合には、調停成立時に正確に計算し直すものとされている(茗茄政信、近藤 基「書式和解・民事調停の実務〔全訂二版〕」354頁(民事法研究会 平成12年))。
○残債務額の支払猶予や分割払いを求める調停の場合には残債務額に年6パーセントまたは5パーセントか約定利息のいずれか低い方の年利率を乗じて「調停を求める事項の価額」とし、債務の免除・放棄を求める調停の場合には、その求める免除・放棄の額を「調停を求める事項の価額」とする(有村佳人、青木裕史、吉田尚子「特定調停法完全実務マニュアル」120頁(日本法令 平成13年))。
○「特定調停事件や債務弁済協定調停事件に関しては、「調停を求める事項の価額」の算定について、どのように取り扱うべきか」という設問に対して、「民事裁判資料第」230号4頁参照と括弧書きしたうえ、「特定調停事件等において、調停を求める事項の価額となる申立人が受ける経済的利益としては、①残債務額の支払猶予、あるいは分割払いを認めてもらうこと、②債権放棄を得ることなどが考えられる。これらを金銭的に評価すると、①については、残債務額の猶予期間に対する運用利益相当額(法定利息相当額)、②については、放棄額ということになろうから、これらに基づいて算出した額に応じて司法書士の代理権の有無が判断されることになると考えられる」と解説されている「司法書士の簡易裁判所における代理権に関する検討結果報告」(改正司法書士法施行に備え、東京簡易裁判所及び大阪簡易裁判所で検討委員会が設置され、簡易裁判所裁判官、簡易裁判所書記官の他、地方裁判所裁判官等の地方裁判所関係者により検討され、裁判所関係者の指針として公表されたもの)
○「簡裁の事物管轄の範囲内であるかを判断するにあたり、何が140万円以下であることを確認すればよいですか」という設問に対し、「債務弁済協定調停、特定調停、任意整理については、基準となる価額は、依頼者の受ける経済的利益です。この経済的利益は、残債務の額ではなく、残債務額の支払免除、猶予又は分割払い等の経済的利益が140万円を超えない場合には、司法書士はこれらの手続を代理できます。これらの調停の申立は、複数債権者との間でされるものの、通常、債権者ごとの別個の申立てになるため、1社ごとにそれぞれ経済的利益が140万円を超えない場合には、司法書士による代理が可能となります。」と説明されている「相談・援助担当者ガイドブック」26頁(財団法人法律扶助協会 平成17年12月)。
注6 前掲「相談・援助担当者ガイドブック」26頁
注7 「弁護士と隣接法律専門職能との関係については、弁護士人口の大幅な増加と諸般の弁護士改革が実現化する将来において、各隣接法律専門職種の制度の趣旨や意義、及び利用者の利便とその権利保護の要請等を踏まえ、法的サービスの担い手の在り方を改めて総合的に検討する必要がある。しかしながら、国民の権利擁護に不十分な現状を直ちに解消する必要性にかんがみ、利用者の視点から、当面の法的需要を充足させるための措置を講じる必要がある」(平成13年6月12日司法制度改革審議会意見書)
注8 例として、法テラスにおいては負債総額が140万円を超える債務整理は司法書士には紹介しないという事件振分基準を設けている。また、愛知県弁護士会では、県内自治体に対し、負債総額が140万円を超える債務整理は司法書士は受任できない旨の同様の文書を配布している。
注9 前掲注釈119頁では、その価額が算定不能なものや算定が極めて困難な紛争については140万円を超えるものとみなされるが、紛争の目的の価額(請求額)が140万円以内かどうか判然としない民事紛争についてはとりあえず相談に応ずることはできるとしている。
注10 「一問一答新民事訴訟法」107頁 法務省民事局参事官室編 商事法務研究会
注11 事務連絡先として司法書士事務所のスタンプを書類の隅に押印することが励行されていた。
注12 弁護士の広告、報酬については「弁護士及び弁護士法人並びに外国特別会員の業務広告に関する運用指針」(平成12年5月8日制定)、「弁護士の報酬に関する規程」(平成16年2月26日会規第68号、)、司法書士の広告、報酬については「広告に関するQ&A」(平成13年11月12日付日司連発第797号)、「報酬の手引き」(平成14年10月、日司連)において、抽象的ながらも一定の指針を定めている。

投稿者プロフィール

古橋 清二
古橋 清二
昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A
浜松西部中、浜松西高、中央大学出身
昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる
平成2年 古橋清二司法書士事務所開設
平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立

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