「ただし、甲会社及び乙会社が完全親子会社である場合には、会社法356条取引には該当しない。実質的に利害が同一となり、利益が相反しないからである。しかし、登記官の形式審査上は、利益相反取引に該当する外観を呈するため、①親会社を代表して行為する者以外の代表取締役又は他の取締役全員が作成した取引の時点で相手方が完全子会社であることを証する書面、②取引の時点において相手方の株主を把握できる株主名簿について、完全子会社を代表して行為する者以外の代表取締役又は他の取締役全員が作成した書面、③取引時点での完全子会社の発行済株式数が分かる商業登記簿の登記事項証明書を提供し、両者の関係を疎明することになる(大谷純一「相談事例」登記インターネット3巻11号 p.207)。