3 労働に関する債権

 労働に関する債権は一般の先取特権が認められているため、優先的破産債権となる。なお、解雇予告手当も労働に関する債権に含まれると考えられる。

 上記の労働債権のうち、「破産手続開始前三月間の破産者の使用人の給料の請求権」(法149Ⅰ)、「破産手続の終了前に退職した破産者の使用人の退職手当の請求権(当該請求権の全額が破産債権であるとした場合に劣後的破産債権となるべき部分を除く。)は、退職前三月間の給料の総額(その総額が破産手続開始前三月間の給料の総額より少ない場合にあっては、破産手続開始前三月間の給料の総額)に相当する額」(法149Ⅱ)は財団債権となるが、給料、賞与について具体的にどのような金額が財団債権となるかが問題となる。

 給料の「破産手続開始前三月間」とは、破産手続開始前3か月間に発生した給料と考えられている。これは、給料は日々発生すると考えられているからである。したがって、支給日がいつであるかを問題にする必要はない。

一方、賞与は、日々発生するものではないから、支給日が「破産手続開始前三月間」にあるか否かによって財産債権となるか否かが定まる。

 

「司法書士のための破産の実務と論点」(古橋清二著 2014年4月民事法研究会発行)より

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立