父は生前、「私が亡くなったら、骨は海に撒いて欲しい。」と言っていました。故人の希望を叶えたいのですが、法律上、問題はないのでしょうか
 散骨については刑法190条の「死体、遺体、遺髪又は館内に蔵置し足る物を損壊、遺棄又は領得したる者は3年以下の懲役に処す」の項目に触れるのではないかと懸念されていました。

 しかし、散骨に対してさまざまな団体が取組み、社会的な要請が高まってきました。そこで、法務省は散骨に対し「節度をもって葬送の一つとして行われる限り問題はない」との見解を表明しました。これは、自然葬としての散骨が「死体遺棄」ではなく、「葬送の一つとして」認められたということです。と言うものの、勝手に散骨していいと言うものではありません。

 先の法務省の見解にある「節度をもって」とは、具体的にどういうことなのかになります。

 一般常識の中で他人に迷惑をかけないことであり、個々の判断に委ねられますが次の点に注意する必要があると思います。

  1 そのままの形で散布しないこと
  2 お骨とはわからない程度に粉末化(一般的には2mm程度以下)すること
  3 他人の所有する土地には散布しないこと、あるいは了解をとること
  4 環境問題に配慮すること
  5 葬送の目的を明確にすること

 ご質問の海への散骨でしたら場所の制約は受けにくいですか、それでも漁場や船の航路、海水浴場などは避けたほうがよろしいでしょう。

 また、飲み水に使われる川の上流などには散布しない。散骨時に大量のお供え物を撒いたりしない。などの配慮が必要でしょう。

(文責 伴 信彦)

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立