父が亡くなり、相続人で遺産分割の話をしましたが、まとまりません。仕方がないので、調停を申し立てようと思いますが、その際に、お墓の承継者も決めたいと思いますが、調停でどのようなことができるのでしょうか
 お墓や祭具などの祭祀財産は、被相続人による承継者の指定があればそれに従い、指定がない場合は慣習(地方の風習等)により承継されます(民法897条1項)。したがって、通常の財産の相続とは別の基準で承継されるため、遺産分割の対象にはなりません。

 被相続人による指定がなく慣習も明らかでない、あるいは慣習の解釈や存在自体を巡って争いがあるなど相続人間で決められない場合には、家庭裁判所における手続きを利用することが可能ですが、遺産分割調停とは別に、祭祀承継者指定調停を申し立てる必要があります。

 調停がまとまらず合意に至らないときは、家庭裁判所が審判で祭祀承継者を決定することになります(民法897条2項)。家庭裁判所は、被相続人との身分関係や生活関係、祭祀を承継する意欲と能力、お墓との場所的関係、利害関係者の意見などを総合的に評価して承継者を決定するとされています。

(文責 倉田和宏)

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立