父が亡くなりました。遺品を整理していたところ、遺言書が見つかり、家庭裁判所で検認したところ、祭祀承継者として私が書かれていました。私は他家に嫁いでいる身なので、父には申し訳ないのですが、辞退したいと思います。祭祀承継者を辞退するには、どうすればよいですか
 祭祀承継者には血縁関係に無い人物を指定することもでき、かつ口頭を含む適宜の方法で指定することができるとされています。よって、本件の遺言による祭祀承継者の指定は有効と考えられます。

 ところで、祭祀財産の承継については、一般の財産の承継(相続)と異なり、民法に承認や放棄の制度が定められていません。そのため、解釈上、祭祀承継者の地位を辞退することはできないとされています。

 しかし、先祖の祭祀を行うことが祭祀承継者の思想信条と異なる場合もあるわけですから、祭祀を承継しても祭祀を主宰する義務は負わないと考えられています。その他の親族が祭祀の主宰を求めることもできません(東京高決昭和28年9月4日判時14号16頁)。

 ご質問への回答は、祭祀承継者の辞退はできないが祭祀を主宰する義務は負わない、ということになります。

(文責 井上尚人)

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立