私の妻が亡父の療養看護に尽くし、父の財産を守ることができました。妻は父の相続人ではありませんが、妻の寄与に対して報いることはできないのでしょうか。
 相続人が被相続人の財産形成等に寄与した場合は、「寄与分」として遺産分割手続における具体的相続分を定める際に考慮されることとなりますが、相続人ではない者(本件で言えば相続人の妻)が相続人の療養看護に尽くした場合には、その者を「相続人の補助者」と捉えて「寄与分」を考慮するなどの工夫がされていました。

 平成30年相続法改正により特別寄与料の制度が新設されましたが、「相続人の補助者」にあたるとされる者が被相続人の親族であり、特別寄与料の請求権者に該当する場合に、「相続人の補助者」として立場と特別寄与者としての立場を選択することができるのか、特別寄与者制度の創設により「相続人の補助者」との考え方は採ることができなくなったのか、現段階では明らかではなく、実務の推移を注視する必要があります。

 仮に、選択的に「相続人の補助者」構成をとることができるのであれば、遺産分割手続において相続人の寄与分として考慮するのか、特別寄与料を請求するのかのいずれかを選択することになります。

 一方、「相続人の補助者」構成をとることができないのであれば、特別寄与者は遺産分割の手続とは別に、特別寄与料の請求をする必要があります。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立