遺産は銀行預金のみで、不動産はありませんが、遺産分割協議書を作成する必要はありますか

銀行預金は、銀行が死亡の事実を知れば凍結されていますので、これを解約・名義変更等をするためには、相続人全員の実印の 押された同意書が必要となります。この同意書は、銀行に用意されていますので、銀行の指示にしたがって手続をすれば解約等をすることができます。

この同意書も、タイトルこそ異なるものの遺産分割を証明する書類であるということができます。また、銀行預金を誰が相続するのかを定めた遺産分割協議書 (印鑑証明書付)を銀行に持ち込むことにより、銀行で用意した同意書を利用せずに預金を解約することもできます(戸籍謄本等、他に必要な書類は同意書を提出する場合と同じです)。

したがって、遺産が銀行預金だけの場合であっても遺産分割協議書を作成する実益があります。
さらに言えば、銀行預金が複数ある場合、同意書ですと銀行毎に同意書を作成しなければなりませんが、遺産分割協議書に複数の預金について記載しておけば1通だけ作成すればいいことになります。なお、遺産分割協議書は、解約の都度、銀行から原本を返却してもらってください。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立