家事事件手続法200条2項に定められている仮分割の仮処分制度です。家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、審判又は調停の申立てをした者又は相手方の申立てにより、遺産の分割の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができます。
これにより共同相続人間の実質的な公平を確保しつつ、個別的な権利行使の必要性に対応できると思われます。
しかし、遺産の分割の審判又は調停の申立てがなされていること、「強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要がある」ことが必要です。
したがって、葬儀費用の支払いや一時的な生活費の補填という程度の理由では、仮分割の仮処分が発令される可能性は低いと思われます。