ご質問のケースでは基準日を設定する必要はないものと考えます。
株主総会に出席して議決権を行使することができる株主は、本来であれば議決権行使時点、すなわち株主総会当日の株主とするのが原則です。しかしながら、株主が大勢で日々変動する会社において株主総会当日の株主を確定するのが困難です。
そこで、そのような会社では、前もって一定の日に株主名簿に記載又は記録された株主に対して議決権を与える基準日制度を採用して議決権を行使することができる株主を確定しているのが実情です。
お尋ねのケースは、100%子会社ということですから、通常は株主に異動はなく、株主総会当日の株主は容易に確定できるものと考えられます。定款の規定も基準日を「定めることができる」と規定していることから、基準日を必ず定めなければならないということではありません。したがって、基準日を定める必要はないものと考えます。
また、付け加えれば、招集手続を経ていない場合でも、株主全員が出席して総会を開催することに同意した場合には全員出席総会として、その決議は株主総会の決議としての効力を有します(最一判昭和46.6.24民集25巻4号596頁等)。したがって、この要件が整った場合には招集手続きを経ることなく有効に株主総会を開催することもできます。