家事事件手続法200条3項に定められている仮処分制度です。
家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権を、審判又は調停の申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができます。
このように、この制度を利用するためには、遺産の分割の審判または調停の申立てがあったこと、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権を当該申立てをした者または相手方が行使する必要があると認められること、仮処分の申立てがあったことが必要です。
したがって、家事事件手続法200条2項が定める仮分割の仮処分よりも使いやすくはなっていますが、故人の預金から葬儀費用をすぐに払いたいというのであれば、まずは、法定相続人として金融機関に法定限度内で一部払戻請求をするという方法を検討されてはいかがでしょうか。