一部の取締役についてのみ定款及び選任時の株主総会決議で任期を定めることはできますか

 有限会社の取締役について、株主から選任された取締役については任期の定めを設けず、従業員の中から選任した取締役について任期を定めることは合理的理由もあり、許されるものと考えられるとされています(登記研究772 33頁)。

 この場合の定款の定め方は、「株主総会は、取締役の選任に際し、当該取締役について、任期を定めることができる。この場合の取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする」というような定めが考えられると記載されています。

 そうすると、株式会社も同様の定めをすることができると考えられます。たとえば、取締役の任期は10年である場合に、特定の取締役については株主総会の決議により任期を短縮することが考えられます。

参照条文
(取締役の任期)
会社法第332条  取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。
2 前項の規定は、公開会社でない株式会社(委員会設置会社を除く。)において、定款によって、同項の任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立