民法465条の6は、「事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。」と規定しています。したがって、公正証書の作成をしなければならない保証契約は、①「事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約」と、②「主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約」のふたつということになります。
したがって、①については根保証ではない場合も公正証書の作成が必要となるので注意を要します。
お問合せのケースを考えるにあたり、「貸金等債務」という概念を確認しておきたいと思います。
「貸金等債務」(金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務)という概念は平成16年改正時に根保証に関する規定を申請した際に設けられた概念です。ですので、これを前提として検討する必要があります。
そうすると、準消費貸借契約にもとづく返還債務は、原則として「貸金等債務」に含まれないと考えられます。しかし、事業のために負担した貸金等債務を目的として準消費貸借が成立した場合には、旧債務との間に同一性が認められ、「事業のために負担した貸金等債務」と同じ扱いとなると考えられます(改正債権法と保証実務102)。
したがって、企業の売掛債権について準消費貸借が締結される場合は本条の適用はありませんが、従来の貸付金に対して準消費貸借が締結される場合は本条の適用があると考えられます。
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