【動画】静岡県司法書士会研修会 「相続法改正の施行時期と適用場面」

【動画】静岡県司法書士会研修会 「相続法改正の施行時期と適用場面」

 7月27日、台風で開催が危ぶまれましたが、予定どおり、静岡県司法書士会第1回会員研修会「さらにパワーアップ 相続実務必携 「相続登記の専門家」から「相続の専門家」になる」が開催されました。

 参加申込みは、なんと252名! 昨年開催された研修会の最高が約140名とのこと。とんでもない記録的な参加申込みとなり、同時配信の西部会場、東部会場は、急遽広い会議室に会場を変更しました。

 研修内容は、まず最初に、古橋清二(司法書士法人中央合同事務所)から、「改正相続法の施行時期と適用場面」というテーマで、30分くらいお話をさせていただきました。その中で、相続法改正の概要についても触れ、改正内容のおさらいもしていきました。

 そして、次からが研修のメインになりますが、改正相続法を具体的事例に落とし込んで検討してみました。この具体的事例の解説については、中里功さん(司法書士法人浜松総合事務所)、神谷忠勝さん(司法書士法人中央合同事務所)、内納隆治さん(司法書士法人中央合同事務所)に登壇をお願いしました。

研修会資料はこちらからダウンロードできます!

 この投稿は、最初の「改正相続法の施行時期と適用場面」のみ掲載しています。具体的事例の検討は、あらためて別に投稿する予定です。

まずは、開会にあたってのあいさつです。

 次から、設問ごとの解説となります。なお、設問の解説全体を通してご覧になりたい方は、こちらをクリックしてください。

 

設問1
 Xは、平成30年12月1日、不動産目録をパソコンで作成し、その他は旧法による自筆証書遺言の方式にしたがって遺言を作成した。この遺言は自筆証書遺言としての効力を有するか。

設問2
 Xは、平成31年4月1日、20年以上連れ添った配偶者Yに対し居住用不動産を贈与し、令和元年7月10日に死亡した。この贈与について、遺産分割の際、持戻し免除の意思表示があったと推定し、当該居住用不動産の価額を特別受益として扱わずに計算をすることができるか。

 

設問3
 Xは、平成25年4月1日に死亡したが、遺産分割の話し合いがまとまっていない。相続人Yは、令和元年7月以降、凍結されたままになっている預金について、金融機関に対し、民法909条の2にもとづいて単独で一部払戻しを請求することができるか。

設問4
 Xは、令和元年5月1日に死亡した。残された遺言には遺言執行者の指定がなかったため、申立により、令和元年7月15日にYが遺言執行者に選任された。Yは、民法1007条2項にもとづき遺言の内容を相続人に通知しなければならないか。

 

設問5
 Xは、平成31年3月1日に、①自宅の土地建物をYに相続させる、②遺言執行者はZを指定する旨の遺言を作成し、令和元年7月15日に死亡した。遺言執行者Zは、当該土地建物の名義をY名義に移転するための登記申請をすることができるか。

設問6
 Xは、平成31年3月1日に自宅の土地建物をYに相続させる、遺言執行者はZを指定する旨の遺言を作成し、令和元年7月15日に死亡した。なお、当該遺言には遺言執行者がその任務を第三者に行わせることができる旨の定めはなかった。Zは遺言執行者に就任したが、自信がないので司法書士甲に遺言執行者の任務を行わせたいと考えているが、それは可能か。

 

設問7
 Xは、令和元年5月1日に死亡した。残された遺言には遺言執行者の指定がなかったため、申立により、令和元年7月15日にYが遺言執行者に選任され、Xの不動産は遺贈を原因としてZに所有権移転登記がされた。相続人AがZに対してすることができるのは遺留分減殺請求か、遺留分侵害額請求か。

設問8
 Xは、令和元年5月1日に死亡した。残された遺言にはすべての財産はYに相続させると書かれていた。平成31年7月10日、相続人Zの債権者であるAは、代位でYZ名義の法定相続分による登記をしてZの持分を差し押さえた。YはAに対し、Yに所有権があることを対抗できるか。

 

設問9
 Xは、令和元年5月1日に死亡した。相続人であるYZの遺産分割協議によりXの売掛金はYが取得することになった。令和元年7月10日、Yは、債務者Aに対し、遺産分割協議書を示して売掛金の支払いを請求した。
しかし、Aは、YだけではなくZ名義でも遺産分割により売掛金をYが取得したという連絡をもらわなければYに支払うことはできないと言って支払いを拒絶した。Aの拒絶は正当か。

 

設問10
 Xは、令和元年5月1日に死亡した。相続人ではないY(相続人の妻)は、無償でXの療養看護等を行ったことに対し、令和31年7月1日以降であれば、民法1050条を根拠に相続人に対して金銭請求をすることができるか。

設問11
 Xは、令和2年4年1日から配偶者居住権が新設されることを知り、令和元年7月15日、配偶者居住権を妻Yに遺贈する旨の遺言書を作成した。令和2年5年1日Xは死亡した。Yは配偶者居住権の遺贈を受けることができるか。

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます

  • 【動画】簡裁訴訟代理等関係業務って、具体的にどういう業務? 司法書士に何を頼めるの?【動画】簡裁訴訟代理等関係業務って、具体的にどういう業務? 司法書士に何を頼めるの? 【動画】簡裁訴訟代理等関係業務って、具体的にどういう業務? 司法書士に何を頼めるの?  内納司法書士が簡裁訴訟代理等関係業務の認定考査に合格しました!  […]
  • 【動画】後見から補助への変更? そもそも後見とは? 後見制度支援信託とは?【動画】後見から補助への変更? そもそも後見とは? 後見制度支援信託とは? 後見から補助への変更? そもそも後見とは? 後見制度支援信託とは?
  • 【動画】任意的当事者変更は同意したが、本来なら違うアプローチがあったのでは? 専門職としての注意義務と責任とは!【動画】任意的当事者変更は同意したが、本来なら違うアプローチがあったのでは? 専門職としての注意義務と責任とは! 任意的当事者変更は同意したが、本来なら違うアプローチがあったのでは? 専門職としての注意義務と責任とは!     https://youtu.be/w-NIt016I1w
  • 法務大臣表彰拝受いたしました。でも、まだまだ終われません!法務大臣表彰拝受いたしました。でも、まだまだ終われません!   https://youtu.be/0pE_FfJk0rE  このたび、司法書士として法務大臣表彰を拝受いたしました。表彰基準は知る由もありませんが、察するところ、業務歴30年以上の単位会会長又は副会長経験者で、現在は役職を退いた者のうち単位会が推薦する者、というあたりかと思います。誠に栄誉なことと嬉しく受け止めていますが、残念ながらまだまだ「ご苦労さん」と言 […]
  • 配偶者居住権講義録を掲載しました配偶者居住権講義録を掲載しました 配偶者居住権講義録  これは、2020年1月22日に開催された講習会において、当事務所代表の古橋清二が講義した内容を記録したものです。  なお、YouTubeで講義の動画を見ることもできます。  第1講 配偶者居住権の概要  第2講 配偶者居住権の節税の可能性と相続税法上の財産評価  第3講 配偶者居住権に関する実務上の検討   本日は、配偶者居住 […]
  • 入院・入所時の身元保証人の問題点入院・入所時の身元保証人の問題点 入院・入所時の身元保証人の問題点 https://youtu.be/hTBYUx7wWZo
  • オレは人間国宝じゃないんだオレは人間国宝じゃないんだ オレは人間国宝じゃないんだ  昨日、「クレサラ問題で培ったノウハウは伝統芸能か?」というブログを書いたところ、さっそくメールがあり、入会3年以内ぐらいの若手司法書士諸君に伝統芸能を披露してくれないか、という話が舞い込んだ。「オレは人間国宝じゃないんだ」と冗談を飛ばしながらもちろん快諾したわけだが、その話を聞いた時に口から出たのは、自分でも意外だったが、「若い人は本当にやる気 […]
  • 「司法書士のための 会社・事業者破産の実務と論点」を出版しました!「司法書士のための 会社・事業者破産の実務と論点」を出版しました! https://youtu.be/gyEbx7oL4kc
  • 2021民法・不動産登記法改正を研究する 第23回 ~事例問題 共有者の一人が行方不明! 新法を使って、簡便に賃貸借契約を締結するには?2021民法・不動産登記法改正を研究する 第23回 ~事例問題 共有者の一人が行方不明! 新法を使って、簡便に賃貸借契約を締結するには? https://youtu.be/qIxDkF8QNKk
  • 借金問題は命の問題だ (浜松支部事例検討会)借金問題は命の問題だ (浜松支部事例検討会)  静岡県司法書士会浜松支部は、法テラスカード普及活動のひとつとして、福祉等との連携を模索する事例検討会を開催している。本日は、その4回目、テーマは借金問題!  講師兼進行役を任された私は、実際にあった事例を交えて借金問題の悲惨さ、そこに潜む本質的な問題を語り、また、法的解決方法を説明しながらいくつかの設問を出し、グルーブディスカッションをしてもらった。  後半では、末尾記 […]
  • 司法書士の債務整理の歴史と実務の変遷司法書士の債務整理の歴史と実務の変遷  2020年3月7日、静岡県内の司法書士試験合格者に対し、司法書士の債務整理の歴史と実務の変遷について4時間お話をさせていただきました。さすがに私の経験した30年間を話すには全く時間が足りませんでしたが、平成元年試験合格の私が令和元年試験合格の皆さんに30年の経過をお話させていただく機会をいただき、ひとつの区切りになったような気がします。せっかくの機会でしたので録画させていた […]
  • 仮換地の従前地に登記する賃借権登記の借賃の記載方法仮換地の従前地に登記する賃借権登記の借賃の記載方法 仮換地の従前地に登記する賃借権登記の借賃の記載方法  賃借権登記の登記事項である借賃は、土地毎に登記するものとされている。例えば、A、B、Cという3筆の土地を月額10万円の借賃で借りるとしても、登記は、A、B、Cそれぞれの土地毎に賃料を登記しなければならない。もちろん、A、B、Cはそれぞれ面積が異なるし、方角や道路との位置関係も全く異なる。賃貸借契約の当事者は、あくまでも全 […]
  • 【動画】危急時遺言のポイント【動画】危急時遺言のポイント 【動画】危急時遺言のポイント https://youtu.be/NLybwQZnkRk
  • 【動画&メモ】事業用融資における第三者保証の制限【動画&メモ】事業用融資における第三者保証の制限 【動画&メモ】 事業用融資における第三者保証の制限を学ぼう Ⅰ 改正の趣旨  事業貸金等債務を主債務とする保証契約等においては、保証債務の額が多額になりがちであり、保証人の生活が破綻する例も相当数存在するといわれている。  しかし、保証契約は個人的情義等に基づいて締結されることが多いことや、保証契約の締結の際には保証人が現実に履行を求められることになるかどうかが不 […]
  • 有機肥料と本人訴訟支援有機肥料と本人訴訟支援 有機肥料と本人訴訟  我が家では、基本的に、ごみの日に生ごみを出すことはない。それは、生ごみはコンポストで有機肥料にするからだ。ただ、生ごみをそのままコンポストに入れるだけでは腐ってウジが湧いてしまう。そうではなくて、生ごみを土に混ぜ、それをコンポストに入れるのだ。そうすることにより、土の中の微生物が生ごみを食べ、1月ほどで土にしてくれるのだ。  もともと、その生ごみの多 […]
  • 移行後の株式会社が取締役会設置会社である場合移行後の株式会社が取締役会設置会社である場合 特例有限会社から株式会社への移行は、登記が効力要件とされていますが、移行後の株式会社が取締役会設置会社である場合、登記申請前に取締役会を開催し、代表取締役を選定することができるでしょうか。また、この場合に移行を決議した株主総会で代表取締役を選定することができるでしょうか。 登記申請前に取締役会を開催して代表取締役を選定することはできない。移行を決議した株主総会で選定する […]
  • 所在不明株主のリスクと対策所在不明株主のリスクと対策 所在不明株主のリスクと対策 「株主に連絡がとれない」  こうしたご相談をいただくことがしばしばあります。連絡がとれない株主であっても自動的には株主の地位は喪失しません。このような株主であっても、他の株主と同様に管理をしていく必要がありますが、将来、事業承継やM&Aが行われる際には、大きな問題となる可能性があります。  たとえば、会社の株式をすべて第三者に譲渡して事業承継 […]
  • 2021民法・不動産登記法改正を研究する 第5回 ~不動産登記法改正案相続登記義務化の経過措置は?相続放棄・相続分譲渡時の登記義務は?~2021民法・不動産登記法改正を研究する 第5回 ~不動産登記法改正案相続登記義務化の経過措置は?相続放棄・相続分譲渡時の登記義務は?~ https://youtu.be/r87kb_vOC3s
  • 人生の転機人生の転機 人生の転機 「先生、以前お世話になったウチの従業員のことなんですが、今日、本人から退職願が出てきました。これは、彼女の破産のことと関係があるのですか?」  夏も終わりに差し掛かった頃、ある会社の総務部長から彼女の進退について問い合わせを受けたものの、私には彼女の退職については何の心当たりも浮かばなかった。  そういえば、あらから5年が経とうとしている。彼女の自己破産の申 […]
  • 自筆証書遺言を加除・訂正したいのですが、遺言書作成時に押捺した印鑑を紛失してしまいました。加除・訂正は違う印鑑でもいいですか自筆証書遺言を加除・訂正したいのですが、遺言書作成時に押捺した印鑑を紛失してしまいました。加除・訂正は違う印鑑でもいいですか 自筆証書遺言を加除・訂正したいのですが、遺言書作成時に押捺した印鑑を紛失してしまいました。加除・訂正は違う印鑑でもいいですか  自筆証書遺言中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更 […]

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)