金融機関では、預金口座の名義人が死亡したことを知ると、口座を凍結します。これにより、その口座からは原則として入出金ができなくなります。これは、死亡により相続が開始し、故人の遺産は相続人全員の共有財産となるため、相続人全員の協議(遺産分割協議)により誰が相続するかが決まったり、遺言により誰が口座を承継するか決まるなどしない限り、金融機関としては、誰に対して払戻しをすればいいのか判断できないからです。
しかし、お尋ねのように、遺産分割協議の成立等を待たずに葬儀費用の支払いなどのために一部でも払い戻したいという必要性は理解できます。
そこで、①家庭裁判所に仮分割の仮処分を申し立てる、②家庭裁判所に仮払いの仮処分を申し立てる、③法定相続人として金融機関に法定限度内で一部払戻請求をする、という方法が考えられます。
しかし、①の方法はかなりハードルが高く、②の方法も様々な要件をクリアする必要があります。そこで、家庭裁判所の関与を必要としない③の方法で払戻請求してはいかがでしょうか。
なお、葬儀費用の支払いについては、金融機関によっては、葬儀社の見積などを確認のうえ出金を認めてくれる場合もあるようですので、金融機関に相談してみたらいかがでしょうか。
投稿者プロフィール
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昭和33年10月生 てんびん座 血液型 A
浜松西部中、浜松西高、中央大学出身
昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる
平成2年 古橋清二司法書士事務所開設
平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立
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