あなたは料理を作る人? それとも食べる人?
今年も11月に司法書士試験の合格発表があった。来年1月から、中央新人研修、ブロック(静岡の場合は関東ブロック)新人研修、各単位会の新人研修、簡裁代理の認定考査のための特別研修、そして、静岡の場合は各事務所に配属されて行う6週間の配属研修が行われる。この間約4ケ月。これらの研修を受ける新人は、気力、体力はもとより、経済的にも大変だ。
そして、多くの新人は、まだ司法書士実務を経験したことがないため、座学で連日講義を受けても今ひとつ実感がわかないのが正直なところではなかろうか。
当事務所では、当事務所で配属研修を受ける予定の方に、これらの研修を受ける前に、時間の許す限り事務所見学をしてもらっている。「見学」といっても、相談者に了解を得た上で相談者との面談に同席したり、不動産取引の決済に立ち会ったり、実務書を自分で調べて事案を検討して起案をしたり、裁判所で法廷等で裁判を実体験してもらったりしている。今年は、こうした見学を1ケ月行ったうえで1月からの研修に送り出す。今週は、裁判ウィークと称し、月曜日から訴訟の基礎について話をし、いろいろな事件記録をみて裁判の空気を感じたうえで、本日の裁判を傍聴してもらった。和解が予想された事件なので事前に和解条項を起案してもらい、予想どおり、その和解条項どおりに和解で決着した。
また、昨日は多重債務相談から破産の書類作成業務の受任に至る過程を見学し、明日は、別件で破産申立てに向けて詳細を聞き取って申立書類を準備することを経験してもらう予定だ。この三日間で破産の受任から申立までを経験しようという密度の濃い研修だ。
研修生はまだ経験したことのないことばかりであるし、毎日直面する事案に精一杯であろうが、司法書士という仕事は最終的には書類を作ることが中心的な業務であり、その書類で登記官や裁判官を説得するということをまず知って欲しい。つまり、司法書士は書類の料理人であり、登記官や裁判官に、いかに「美味い、美味い」と料理を食べてもらうかを常に意識することが大事だ。食材だけを提供して「この材料を使っていればマズイわけないだろう」と相手任せにしてはダメだ。「どうぞ、何も考えずに美味しく召し上がってください」と差し出し、「なるほど、美味い、美味い」と言わせなければならない。
「司法書士は料理を作る人だぞ!」と言いながら、今日も一日が過ぎていった。
投稿者プロフィール
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昭和33年10月生 てんびん座 血液型 A
浜松西部中、浜松西高、中央大学出身
昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる
平成2年 古橋清二司法書士事務所開設
平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立
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