不動産登記規則92条の解釈

不動産登記規則92条の解釈

不動産登記規則92条とは、次の条文である。

(行政区画の変更等)
第92条  行政区画又はその名称の変更があった場合には、登記記録に記録した行政区画又はその名称について変更の登記があったものとみなす。字又はその名称に変更があったときも、同様とする。
2  登記官は、前項の場合には、速やかに、表題部に記録した行政区画若しくは字又はこれらの名称を変更しなければならない。

 素直に読めば、1項は、表題部、甲区、乙区全ての読替規定であり、2項は、表題部について登記官が職権で変更登記をする規定であるように見える。

 ところが、この92条が「表示に関する登記」の節に置かれているので話をややこしくしている。すなわち、92条は表題登記に関する規定であり、甲区、乙区には適用されないという解釈が、どうも通説になっているようだ。では、なぜ、甲区について、行政区画等の変更による所有権登記名義人住所変更登記等をせずに抵当権設定等の登記をすることができるかであるが、これは、行政区画等は「公知の事実」だから、ということらしい。

 これに対し、旧不動産登記法では、規則92条1項と同様の規定が総則に置かれていたために、甲区、乙区についても読替える趣旨の規定になっていた。

 旧法時代は、このようなみなし規定が存在していたために、明確な法律上の根拠があって所有権登記名義人住所変更登記等をする必要はなかったが、新法では、「公知の事実」という、やや曖昧な解釈で所有権登記名義人住所変更登記等を不要とするということだ。

何か釈然としない。後付の理由のように見えるのは僕だけだろうか。そもそも、規則92条を「表示に関する登記」の節に置いたのが間違いではないのか? 仮に間違いではないにしても、条文を素直に読めば、何ら解釈の変更をする必要はなかったのではなかろうか? 

投稿者プロフィール

古橋 清二
古橋 清二
昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A
浜松西部中、浜松西高、中央大学出身
昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる
平成2年 古橋清二司法書士事務所開設
平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)