被相続人の預貯金の使途不明金
相続の相談を受ける中で、「被相続人と同居していた相続人が被相続人の生前に被相続人の預貯金を使い込んでいたに違いない」という話が出てくることがある。遺産分割の話し合いの中でその点を明らかにして、相談者の相続分を少しでも有利に交渉したいという趣旨である。
気持ちはよくわかる。だが、法的に考えると、仮にそういうことがあったとしても、生前に引き出されたお金が被相続人の手元にないのであれば、原則として相続財産を構成しないので、遺産分割の対象にはならない。したがって、遺産分割の話し合いの中にその件を取り込むことはできないのだ。
もっもと、相続人全員が、その件も取り込んで話し合いをするというのであればそれはそれでいいであろう。こうした生前の使途不明金は、本来は不法行為又は不当利得の問題であるから、遺産分割の対象として取り込むとすれば、被相続人の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権として取り込むことになるのだろう。
投稿者プロフィール
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昭和33年10月生 てんびん座 血液型 A
浜松西部中、浜松西高、中央大学出身
昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる
平成2年 古橋清二司法書士事務所開設
平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立
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