「二段の推定」の典型例

投稿者: | 2018年9月19日

「二段の推定」の典型例 所有権保存登記抹消登記手続等請求事件(高知地裁(第一審)平成21年2月10日)

 

事案
 原告は、全財産を相続する旨の遺産分割協議が成立したとして,被告が作成したとする証明書を提出。これに対し,被告は,本件証明書に署名したことはなく,印影も被告の実印とは異なる旨主張し,本件証明書は司法書士が勝手に作成したものであると主張。

事実認定
本件証明書の署名の文字が被告の字であることは被告自身が認めるところである。
本件証明書の作成日と同日に取得された印鑑登録証明書についても,被告が取得した上で送付したものであることは被告自身が認めるところである。
本件証明書に押印された印鑑の印影と前記印鑑登録証明書の印影とを比較対照すれば,両者は同一のものであると認めるのが相当である。
本件証明書の被告の署名部分の文字は被告の字であること,及び,被告の実印が捺印されていることに照らせば,本件証明書は,被告自身が作成したものにほかならないというべきである。
被告は,本件証明書は司法書士が勝手に作成したものであると主張するけれども,<中略>被告自身が司法書士の事務所へ本件証明書を持参したこと,その際,司法書士が本件証明書の内容に間違いがないか被告に確認したところ,被告は間違いないと答えたことが認められ,他方で,関係各証拠を精査するも,本件証明書を司法書士が被告に無断で作成したことを認めるに足りる証拠はない。

判断
本件証明書は被告が署名押印して作成したものであり,真正に成立したものであると認められる。

考察
 「二段の推定」の典型例であるが、「二段の推定」だけに頼らず、本件証明書の成立過程についてもキチンと事実認定している。遺産分割等の書類の成立について、後日になって「勝手に作成された」と相談に来る例は少なくない。そこには、親族間の様々な思いが積み重なっているのであろうが、ほとんどのケースは「二段の推定」が働き、覆すことは困難であると思われる。

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