「この抵当権は身に覚えがない!」

投稿者: | 2018年8月15日

「この抵当権は身に覚えがない」という相談がありました。

抵当権を設定登記するには、抵当権設定登記手続きを命じる判決でもとられていない限り、不動産所有者の印鑑証明書と実印の押印が必要です。ところが、印鑑証明書を出したこともないし実印を押した覚えもないというのです。
もっとも、平成5年に登記された抵当権なので、記憶もあいまいになっているかも知れません。

とにかく、当時の登記申請書とその附属書類が法務局に保管されていると思うので、それを閲覧してみよう、ということになりました。

ちなみに、登記申請書とその附属書類は法務局に30年間保存されています。根拠条文は次のとおり。

不動産登記規則
(保存期間)
第二十八条 次の各号に掲げる情報の保存期間は、当該各号に定めるとおりとする。
一 登記記録(閉鎖登記記録(閉鎖した登記記録をいう。以下同じ。)を除く。) 永久
二 地図及び地図に準ずる図面(閉鎖したものを含む。) 永久
三 建物所在図(閉鎖したものを含む。) 永久
四 土地に関する閉鎖登記記録 閉鎖した日から五十年間
五 建物に関する閉鎖登記記録 閉鎖した日から三十年間
六 共同担保目録 当該共同担保目録に記録されているすべての事項を抹消した日から十年間
七 信託目録 信託の登記の抹消をした日から二十年間
八 受付帳に記録された情報 受付の年の翌年から十年間(登記識別情報に関する証明の請求に係る受付帳にあっては、受付の年の翌年から一年間)
九 表示に関する登記の申請情報及びその添付情報(申請情報及びその添付情報以外の情報であって申請書類つづり込み帳につづり込まれた書類に記載されたものを含む。次号において同じ。) 受付の日から三十年間(第二十条第三項(第二十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定により申請書類つづり込み帳につづり込まれたものにあっては、電磁的記録に記録して保存した日から三十年間)
十 権利に関する登記の申請情報及びその添付情報 受付の日から三十年間(第二十一条第二項において準用する第二十条第三項の規定により申請書類つづり込み帳につづり込まれたものにあっては、電磁的記録に記録して保存した日から三十年間)
<以下省略>

さてさて、登記申請書とその附属書類を閲覧したとしても、法務局ではコピーは撮らせてもらえません。だから、法務局に了解をもらって写真をとることになります。何回か以前に閲覧をさせてもらったことがありましたが、随分前のことで、当時はスマホなどなく、カメラで撮影して現像したという記憶があります。

ちなみに、登記申請書とその附属書類の閲覧は、利害関係人でなければ許可されませんので、利害関係のあることを説明できるだけの資料を持参するか、その内容を説明した書面をそろえる必要があります。昔は「訴え提起のため」と書けば閲覧できましたが、今では具体的な利害関係の疎明を求められるのです。

また、司法書士が代理人として閲覧する場合には利害関係人からの委任状と利害関係人の本人確認書類も求められます。

準備が整い、勇んで法務局に行きました。ところが、大きな壁が立ちはだかってしまいました。それは、不動産登記規則が改正された際の附則でした。

附 則 (平成二〇年七月二二日法務省令第四六号)
(施行期日)
第一条 この省令は、平成二十年七月二十二日から施行する。
(経過措置)
第二条 この省令による改正後の不動産登記規則の規定は、この省令の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、改正前の不動産登記規則の規定により生じた効力を妨げない。
2 この省令の施行の際現に不動産登記規則第二十九条の規定に基づき法務局又は地方法務局の長の廃棄の認可を受けている情報の保存期間については、なお従前の例による。

この改正がなされる前は、登記申請書とその附属書類の保存期間は10年だったのです。したがって、今から30年前までの書類が保存されているわけではなく、平成20年7月以前の書類は平成10年7月までの分しか保存されていないというわけです。

残念!

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