2 上水道・電気・ガス・電話

上水道・電気・ガス・電話の請求権は、継続的給付を目的とする双務契約に該当するため、破産手続開始申立後,破産手続開始前に給付された部分に係る使用料の請求権は財団債権となる(法55条2項) 。また、これらの給付が一定期間ごとに債権額を算定すべきものについては、申立ての日の属する期間内の給付に係る請求権(破産手続開始申立日直前の検針目から直後の検針目まで期間分)の使用料の請求権も財団債権となる(法55条2項括弧書)。

そして、破産者が個人の場合には、上水道・電気・ガスの供給は、民法306条4号、310条の日用品の供給に該当し、破産手続開始決定前6月間の供給部分に係る使用料は一般の先取特権の対象となるため、これらの請求権で財団債権とならないものは優先的破産債権(法98条1項) となる(破産法実務(福岡)82頁では、電話は日用品の供給にあたらないと解しているようである)。

法55条2項括弧書の期間内に破産手続開始決定があった場合には、破産手開始決定後の期間に対する請求権をどのような扱いにするか、上水道、電気、ガス、電話代等について、破産者が個人である場合と法人である場合とで異なる考え方が存在する。破産者が個人である場合には法55条2項にもとづく財団債権となるが、破産者が生活のために利用している場合には、破産財団の管理、換価及び配当に関する費用の請求権(法148条1項2号) ではないので、優先的な財団債権にはあたらないと解される。一方、破産者が法人の場合には、上記請求権は財団の管理等に関する費用として優先的な財団債権となると解される(破産法実務(福岡)82頁)

 

「司法書士のための破産の実務と論点」(古橋清二著 2014年4月民事法研究会発行)より

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立