Ⅱ 破産者の事業
破産手続開始の決定がされた後であっても、破産管財人は、裁判所の許可を得て、破産者の事業を継続することができる(法36)。
清算型の倒産手続である破産手続では、破産手続が開始されれば事業は廃止となるのが原則である。これは、事業用資産や売掛金等は原則として破産財団に帰属し、破産管財人の管理処分の対象となるため、破産者がこれらを管理することができなくなるからである。したがって、事業の継続は、破産財団の拡充が見込まれたり、破産財団の価値の維持、損害発生の防止、社会的混乱を回避する必要がある場合などの例外的な措置である。
しかしながら、個人事業者の場合において、同時廃止が認められる場合には、事実上、事業継続を前提とした破産処理もあり得る(到達点と課題20頁)。
「司法書士のための破産の実務と論点」(古橋清二著 2014年4月民事法研究会発行)より