Ⅱ 破産者の事業

 破産手続開始の決定がされた後であっても、破産管財人は、裁判所の許可を得て、破産者の事業を継続することができる(法36)。

 清算型の倒産手続である破産手続では、破産手続が開始されれば事業は廃止となるのが原則である。これは、事業用資産や売掛金等は原則として破産財団に帰属し、破産管財人の管理処分の対象となるため、破産者がこれらを管理することができなくなるからである。したがって、事業の継続は、破産財団の拡充が見込まれたり、破産財団の価値の維持、損害発生の防止、社会的混乱を回避する必要がある場合などの例外的な措置である。

しかしながら、個人事業者の場合において、同時廃止が認められる場合には、事実上、事業継続を前提とした破産処理もあり得る(到達点と課題20頁)。

 

「司法書士のための破産の実務と論点」(古橋清二著 2014年4月民事法研究会発行)より

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立