ⅩⅢ 破産手続開始の決定
(1)破産手続開始の決定
裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、破産手続の費用の予納がないとき(国庫仮支弁(法23Ⅰ)の場合を除く。)、又は不当な目的で破産手続開始の申立てがされたとき、もしくは申立てが誠実にされたものでないときを除き、破産手続開始の決定をする(法30Ⅰ)。破産手続開始の決定の裁判書には、決定の年月日時が記載され(規則19Ⅱ)、その決定の時から、効力を生ずる(法30Ⅱ)。
なお、債権者がした破産手続開始の申立が法30条1項2号に該当するか否か争われた例として、福岡高決平成23年3月16日(判タ1373号245頁)がある。
この事案は、債権譲渡を受けた債権に基づき債権者が破産手続開始の申立てがされた場合において、当該債権譲渡が債権の名目額を下回る価格でなされ、債権譲受人において、すでに当該債権の購入価格を上回る債権回収をしていると推認される等の事情があっても、債務者が支払不能又は債務超過の状態にあり、申立権の濫用や公序良俗に反すると認めるべき事情もうかがわれないときは、当該破産手続開始申立てが権利濫用にあたり公序良俗に反するということはできず、破産手続開始決定をすることができるとしている。なお、当該債権について債務名義を取得していることは破産手続開始の申立ての要件ではないことも明らかにしている。
「司法書士のための破産の実務と論点」(古橋清二著 2014年4月民事法研究会発行)より