3 債務超過
債務者が法人である場合には、債務者が支払不能又は債務超過にあるときは、裁判所は、決定で、破産手続を開始することを規定しており(法16Ⅰ)、法人である場合には債務超過も破産手続開始の原因であることを明らかにしている。そして、「債務超過」とは、債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態をいうとしている(法16Ⅰ括弧書)。
これは、株式会社や合同会社のような物的会社はその法人が有する財産が信用の基礎になっており、個人のように信用や労力は考慮の対象外であるため支払不能とは異なる概念の債務超過を破産手続開始原因としたものである。債務超過であるか否かはあくまでも法人の財産をもって完済できるか否かで判断すればよく、保証人や他の担保提供の事実を斟酌する必要はないとされる(東京高決昭和56年9月7日(判時1021号110頁、金法996号46頁))。
なお、存立中の合名会社及び合資会社は無限責任社員の人的信用が弁済能力の基礎となっているため、この規定は適用されない(法16Ⅱ)。
4 その他
債務者についての外国で開始された手続で破産手続に相当するものがある場合には、当該債務者に破産手続開始の原因となる事実があるものと推定することとされている(法17)。
「司法書士のための破産の実務と論点」(古橋清二著 2014年4月民事法研究会発行)より