(6)賃貸借契約の解除
事務所、倉庫などについて破産手続開始決定後も賃貸借契約が継続していると賃料債権が発生するが、これは財団債権になると解され(法148Ⅰ⑦、最判昭48年10月30日(民集27巻9号1289頁))、破産財団を減少させる一因となる。したがって、可能であれば破産申立前に賃貸人と合意解除するか、少なくとも破産手続開始決定前には合意解除しておきたい。その際、賃貸人に対する原状回復費用は破産債権となるので賃貸人を債権者一覧表に記載しておく必要がある。
また、賃貸借契約の解除に伴って明渡しをしなければならないが、換価可能なものは適正価格で換価し、価値がない動産については処分する必要がある。特に、処分しなければならない場合は廃棄業者の処分代金見積金額を破産予納金とは別に準備しておく必要がある。
「司法書士のための破産の実務と論点」(古橋清二著 2014年4月民事法研究会発行)より