(3)直近決算時貸借対照表との差異の解明

   直近の貸借対照表に記載された資産の部の勘定科目は事業年度末日現在の財産状況を示しているにすぎないので、直近の事業年度末日の翌日から破産手続開始申立日との間には、必ず資産の変動が生じている。法人の破産申立ての場合には、この間に資産がどのように変動し、資産が金銭化された場合には何の支払いに充てられて現在の非常時貸借対照表となっているのかを説明する必要がある。

売掛金や商品等の流動性の高い資産については、その差異に特別な意味は認められないことも多いが、不動産や機械器具、車両等の変動については詐害行為や偏頗行為の否認との関係で破産管財人の関心も高いところであるので、十分な資料を準備すべきである。

 

「司法書士のための破産の実務と論点」(古橋清二著 2014年4月民事法研究会発行)より

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立