(1)申立日の決定
スケジュールの立案は、まず申立日を決め、それまでになすべき課題を抽出することになる。申立日は、約定返済日や取引先への支払日、手形・小切手が不渡りとなる日などの2日程度前の日に設定することが多い。これは、支払日を控えてもっとも多くの財産を確保することで、債権者全体の満足の最大化を図るとともに、破産予納金を確保するためである。
実際には、手形不渡等の1カ月も前に相談に来ることは少なく、せいぜい1週間程度前であることが多いから、数日で破産申立までの課題を集中的に処理し、破産申立書も作成する必要がある。
また、労働債権については、次の請求権は破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができる財団債権(法2Ⅶ)となり、破産債権に先立って弁済されるから(法151)、労働者保護のためにも早期に破産申立をすることが要請される。
① 破産手続開始前3月間の破産者の使用人の給料の請求権(法149Ⅰ)
② 破産手続の終了前に退職した破産者の使用人の退職手当の請求権(当該請求権の全額が破産債権であるとした場合に劣後的破産債権となるべき部分を除く。)は、退職前3月間の給料の総額(その総額が破産手続開始前3月間の給料の総額より少ない場合にあっては、破産手続開始前3月間の給料の総額)に相当する額
「司法書士のための破産の実務と論点」(古橋清二著 2014年4月民事法研究会発行)より