(3)非免責債権

 免責許可決定が確定したときは、破産者は、破産債権者に対する債務の全部について責任を免れるのが原則であるが、政策的見地から免責を与えることが適当でない場合は免責の効果が及ばないこととしている。これらの債権は非免責債権と呼ばれ、次のようなものがある(法253Ⅰ)。

 ① 租税等の請求権

② 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権

③ 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権

④ 夫婦間の協力及び扶助の義務(民752)

⑤ 婚姻から生ずる費用の分担の義務(民法760)

⑥ 子の監護に関する義務(民法766、749、771、788)

⑦ 扶養の義務(民法877~880)

⑧ ④~⑦までに掲げる義務に類する義務であって契約に基づくもの

⑨ 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権

⑩ 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(破産手続開始の決定があったことを知っていた債権者は除く)

⑪ 罰金等の請求権

 

「司法書士のための破産の実務と論点」(古橋清二著 2014年4月民事法研究会発行)より

 

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立