(1)新たな債務負担行為の禁止
相談者が司法書士に債務整理を相談した時点で、相談者は支払不能を認識したとみることもできよう。したがって、それ以後に、相談者が借り入れ等による新たな債務を負担するという行為は、債権者との関係においても相談をした司法書士との関係においても、信義に反する行為とみることも可能である。場合によっては返済の意思なく借金をしたとみなされ、詐欺罪に問われることもあろう。その旨、相談者には十分に注意を促しておく必要がある。
(2)失念債権は速やかに届け出ること
相談者には、隠している債権が存在したり、新たな債権が発覚したときには司法書士に速やかに届け出るべきことを説明しておく。なお、破産手続開始の決定があったことを知っていた債権者を除き、破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権は非免責債権となる(法253Ⅰ⑥)。
「司法書士のための破産の実務と論点」(古橋清二著 2014年4月民事法研究会発行)より