(3)銀行取引
破産手続開始の申立てを予定する限り、債権者は公平に扱うべきであり、債務者がそのうち一部の債権者へのみ弁済を続けることは偏頗弁済となり、他の債権者に対する信義に反するといえる。したがって、銀行口座の自動引き落としにより返済している場合には自動引落しを解約するか、引き落としされないように口座の残高を調整するか、口座そのものを解約することも検討する必要がある。
また、給料や年金等の収入が、借り入れのある銀行の預金口座に振り込まれる予定がある場合には、相殺や引出し不能となる事態を避けるために振込先を変更するなどの対応をする必要がある。
借り入れのない金融機関との取引は、破産をしても借り入れをすることができないことを除けば制限を受けないので、給料振り込み口座に指定したり公共料金等の引き落としをすることも可能である。
「司法書士のための破産の実務と論点」(古橋清二著 2014年4月民事法研究会発行)より