(1)公的証明等
破産すると戸籍に記載される、選挙権などの公民権が剥奪される、子供の教育にまで影響が及んでしまうというような話は全て正しくない。
また、市区町村に備え付けられている破産者名簿については最高裁判所事務総局民事局長通達(平成16年11月30日最高裁民三第000113号(訟い-2)「戸籍事務司掌者に対する破産手続開始決定確定等の通知について(通達)」が出され、破産法(平成16年法律第75号)の施行の日(平成17年1月1日)から、裁判所書記官は、次のいずれかのときに限り、破産者の本籍市区町村において戸籍に関する事務をつかさどる者に対し、当該破産者について破産手続開始の決定が確定した旨を通知することとされた。
① 破産手続開始の決定が確定した日以後1月を経過した時点において、当該破産手続にかかる免責手続が係属していないとき
② 破産手続開始の決定が確定した日以後1月を経過した後に、当該破産手続に係る免責許可の申立てがすべて取り下げられたとき
③ 破産手続開始の決定が確定した日以後1月を経過した後に、当該破産手続に係る免責許可の申立てのすべてについて、これを却下し、又は棄却する裁判が確定したとき
④ 破産者について、免責不許可の決定が確定したとき
⑤ 破産者について、免責取消しの決定が確定したとき
このため、免責許可の決定が確定したときは破産者の本籍市区町村に通知されることはない。
また、上記①乃至⑤のいずれかに該当したことにより破産者の本籍市区町村に通知がなされた場合において、当該破産手続に係る免責許可の決定又は復権の決定が確定したときは,裁判所書記官は破産者の本籍市区町村において戸籍に関する事務をつかさどる者に対し,当該破産者について免責許可の決定又は復権の決定が確定した旨を通知することとされている。
「司法書士のための破産の実務と論点」(古橋清二著 2014年4月民事法研究会発行)より