Ⅷ 債務者の経済的再生
「債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ること」が破産手続きの目的として明記されているが(法1)、これは、主に免責手続の制度目的を念頭に置いたものであると思われる(大コメ16頁)。免責制度は個人の債務者についてのみ適用されるものであるから(法248Ⅰ)、ここで言う「経済生活の再生」とは、免責許可制度のみならず、個人債務者が種々の資格制限から解放されて経済活動に従事することを容易にする復権制度も射程に入れた理念であると考えられる。
免責許可の要件として債務者の誠実性を要するか否かは議論の対立があるが、免責制度が債務者の経済的再生に有効なものであることは異論なかろう。