3 整理屋提携弁護士問題
平成9年頃、整理屋提携弁護士問題が浮上した。整理屋提携弁護士問題とは、弁護士を実質的に雇用し、または弁護士の名義を借りた整理屋が貸金業を装って雑誌等に広告を出して多重債務者に融資の勧誘をするが、実際には融資はせず債務整理を斡旋して弁護士を紹介し、弁護士が得た報酬の一部を獲得する業者である。実際には、提携弁護士の事務所は整理屋に仕切られており、報酬は高額だが仕事は杜撰である。一応、弁護士名の受任通知で取立が止まるにすぎない。整理屋提携弁護士は東京に集中していたが、雑誌の広告等を媒体として顧客を獲得するため顧客は全国に存在し、弁護士本人が依頼者と面談をすることもほとんどなく、依頼者の生活再建などという視点は微塵もないのである。
当時、司法書士には受任通知による取立禁止効はなかったため、整理屋提携弁護士のような業務は成り立ち得ず、どちらかというと冷ややかな目で整理屋提携弁護士問題をみていたのであるが、まさか、わずか10年後に類似の問題で司法書士が苦悩するとは誰が予想していたであろうか。
「司法書士のための破産の実務と論点」(古橋清二著 2014年4月民事法研究会発行)より