1 議決権制限株式
ア 会社は,議決権を行使することができる事項について内容の異なる数種の株式(議決権制限株式)を発行することができる。この場合においては,定款をもってその内容及び数を定めなければならない。
イ 議決権制限株式の総数は,発行済株式の総数の2分の1(単元株制度を採用する会社においては,議決権制限株式につき存する単元の数について,発行済株式の全部につき存する単元の数の2分の1)を超えることができない。
ウ ある種類の株式についての議決権を行使することができる事項に関する定めも,当該種類株式の内容とされ,「各種ノ株式ノ内容」として,これを登記しなければならない。
エ 議決権制限株式を有する株主の権利に関する定めは,登記事項とされ,この定めを設けたことによる変更登記の申請書には,代理人によって申請する場合のその権限を証する書面のほか,当該定めを設けるため定款を変更した株主総会議事録を添付しなければならない。
2 利益の配当に関する定めの内容
ア 利益の配当に関し内容の異なる種類の株式を会社の成立後発行する場合には,当該種類株式の内容を定める定款の規定においては,具体的な配当すべき額については当該種類株式を発行する際において新株発行事項を決定する取締役会又は株主総会において定める旨を定めることができる。この場合においては,定款をもって,配当すべき額につきその上限額その他の算定の基準の要綱を定めなければならない。
イ 配当すべき額についての算定の基準の要綱についての定款の定めは,種類株式の内容の一部として,登記事項となる。
3 種類株主総会の決議を要する事項に関する定め
ア 会社が数種の株式を発行する場合においては,定款をもって,法令又は定款の定めにより株主総会又は取締役会において決議することとされる事項の全部又は一部につき,当該決議のほか,ある種類の株主の総会の決議を要するものを定めることができる。
イ 種類株主総会の決議を要する事項に関する定款の定めは,登記事項とされ,この定めを設けたことによる変更の登記の申請書には,代理人によって申請する場合のその権限を証する書面のほか,当該定めを設けるため定款を変更した株主総会議事録を添付しなければならない。
4 転換予約権付株式
会社が数種の株式を発行する場合においては,定款をもって,株主がその引き受けた株式を他の種類の株式に転換することを請求することができる旨を定めることができ,当該転換の請求をすることができる株式を,従来,転換株式と称していたが,改正法により新たに設けられた強制転換条項付株式と区別する必要があることから,その名称を転換予約権付株式と改められた。
5 強制転換条項付株式
ア 会社が数種の株式を発行する場合においては,定款をもって,定款に定める事由が発生したときは会社がその発行したある種類の株式を他の種類の株式に転換することができる旨を定めることができ,当該ある種類の株式を,強制転換条項付株式と称することとされた。強制転換条項付株式の発行に関する定めを設ける場合には,定款をもって,転換によって発行すべき株式の内容及び転換の条件を定めなければならない。
イ 強制転換条項付株式の発行に関する定款の定めは,登記事項とされ,この定めを設けたことによる変更の登記の申請書には,代理人によって申請する場合のその権限を証する書面のほか,当該定めを設けるため定款を変更した株主総会議事録を添付しなければならない。
ウ 会社が強制転換条項付株式の転換をする場合には,取締役会において転換されるべき強制転換条項付株式を決議し,当該決議をした旨,転換されるべき強制転換条項付株式及び1月を下らない一定の期間内に当該株式を提出すべき旨を公告するとともに,当該強制転換条項付株式の株主及び株主名簿に記載又は記録がある質権者に各別の通知をしなければならない。
エ 強制転換条項付株式を転換したときは,転換の効力の発生の時から,本店所在地においては2週間以内に,支店所在地においては3週間以内に,強制転換条項付株式の転換による変更の登記をしなければならない。
オ 登記の事由は,「強制転換条項付株式の転換」であり,登記すべき事項は,①発行する株式の総数,②発行済株式の総数並びに種類及び数並びに③発行する各種の株式の内容及び数並びにこれらにつき変更を生じた年月日である。
カ 強制転換条項付株式の転換による変更の登記の申請書には,代理人によって申請する場合のその権限を証する書面のほか,①転換すべき事由として定められた事由が発生したことを証する書面,②転換の決議をした取締役会議事録,③転換の決議をした旨の公告をしたことを証する書面を添付しなければならない。
(平14.3.29、民商第724号民事局長通達)

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立