社外取締役の責任の制限に関する規定が定款に設けられた場合において、会社法第2条第15号等に規定する社外取締役等が選任されていたときは、必ずしも同号の要件に合致する社外取締役等の全員についてその旨の登記をする必要はないものと解されている(「論点解説 新会社法 千問の道標」(相澤、葉玉、郡谷)297ページ参照)。すなわち、社外取締役である旨の登記は、社外取締役が存在することにより格別の効果が生じるときに限ってするものであり(相澤哲「会社法の概要(3)民事月報60巻11号29ページ」)、社外取締役の公示は、その格別の効果が生じるときに限って意義を有するにすぎないものであるため、会社法第427条に規定する責任限定契約を締結しようとする社外取締役についてのみ社外取締役の登記をすれば足りる。民事月報Vol.61(2006)№7「会社法施行後における商業登記実務の諸問題」