実家の登記名義が、他界した祖父の名義のままとなっています。祖母は健在ですが、認知症がひどく施設に預けています。長男で祖父母と同居していた父も3年前に他界しました。父と母はだいぶ前に離婚しましたので、実家には父が一人で暮らしていましたが、父の他界した後、近所に住む叔父が「防犯のため」という理由を付けて実家の権利書を持ち出してしまったようです。勝手に叔父に名義変更されないか心配なのですが・・・
権利書を持っているだけで登記名義の変更ができるわけではありません。

 ご質問のケースでは、「祖父」と「父」のお二人について遺産分割協議をし、その結果を書面にまとめて“関係者”全員が実印を押印し、印鑑証明書も添えて法務局に名義変更の申請をしなければ、登記名義を変更することはできません。

 「祖父」の遺産分割協議について“関係者”とは、は「祖母」と「父」と「父」の兄弟全員です。もっとも、「父」も他界していますので、「父」の相続人であるご質問者とその兄弟全員が、「父」に代わる遺産分割協議の“関係者”となります。

 また、認知症の「祖母」が遺産分割協議をすることはできません。「祖母」のために家庭裁判所で成年後見人を選任してもらうなり、「祖母」が他界した後に改めて協議をするなりせざるを得ませんので、「祖父」の遺産分割協議は簡単には進みそうにないですね。

 以上のとおり、登記名義を変更するには関係する相続人全員の関与が求められますので、ご心配するような事態は生じません。

(文責 中里 功)

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立