父Aが死亡し、相続人は子供の私Xと弟Yの2名です。Aは、「Xの相続分を3分の2、Yの相続分を3分の1とする」との遺言を残していました。この遺言をもとにXは甲土地全てを含む遺産の3分の2を、Yが預貯金から残りの3分の1を相続することになりました。甲土地について、まだAからXへの所有権移転登記はしていませんでした。
Xは、甲土地の所有権のうちY持分として登記された部分について、Kに対抗することはできません。
平成30年改正相続法は、「相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分(法定相続分)を越える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない」(899条の2第1項)と規定しています。
したがって、Xは甲土地につき、法定相続分である2分の1の持分については登記がなくてもKに対抗することはできますが、相続分の指定により取得した法定相続分を超える残りの2分の1については、登記がなければKに対抗することはできません。